【今回のポイント】
〇チームの一人ひとりがイノベーションをけん引する時代。組織として、個人としてダイバーシティを持つことが大事。
〇リーダーシップの本質はいかに「この人のためなら働きたい」と思ってもらえるか。そのためにも自分自身をアップデートし続けよう。
ブランドの中にもダイバーシティが存在する時代
最終回は「イノベーション」「リーダーシップ」について触れたいと思います。世の中にはこの手の文献や名言がごまんとありますが、あくまでもここまでの事業をリードしてきた現時点の自分が考えることを書いてみたいと思いますので、お付き合いください。
ネスレ日本では、社員一人ひとりが顧客の問題を見つけ、仮説を立ててその解決策を新規事業として実行してみる「イノベーションアワード」という仕組みが2011年から導入されています。これは単なるアイデアコンテストではなく、自身の立てた仮説をスモールスケールでいいのでしっかり実行・検証することまでが求められるので、考えるだけでなく企画を具体化する力も必要になります。
私のチームでも部下一人ひとりが何らかのプロダクトやサービスに責任を持っているため、各々が考えるアイデアについてコーチングをすることがしばしばあります。基本的には個々人のやりたいことがはっきりしていれば、方向性は示さずにサポートに徹するようにしていますし、私以外の人間から積極的に声を取り入れるように促しています。一昔前であれば自分の基準で事業戦略との一貫性がなければ指摘し方向転換をかけていたのですが、最近は一歩引いて見守るようにしています。