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コラム

ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論

SDGsで、ブランドなんかつくれません! 「ブランド論の幻想」に反論します。

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【前回コラム】「「ブランドパーソナリティ」を偽ると、ブランドづくりは失敗します。」はこちら

ブランドをつくる目的は「世のため人のため地球のため」と思っていませんか?

©123RF

「ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論(実践編)」第6回は、今までの連載内容に関していただいたご意見に反論します!

ありがたいことに、いろいろな反響をいただいているくのですが、特に多いのが「ブランドづくりの目的は『世のため人のため、地球のため(社会貢献・CSR・SDGs等々)』であり、金儲けであるという主張は根本的に間違っている」とのご意見。

「ブランドづくりの目的は、お金儲けのため」という主張については、過去の記事「「実務者ブランド論」でブランドづくりをスタートしよう!」を参照ください。

ブランドづくりをわかりやすく説明するために、あえて連載内では詳細について言及しなかった部分なのですが、これだけ多くのご意見をいただくということは、今の時代のブランドづくりにおいて、社会的な視点が意識されているとも言えます。

改めて言いますが、ブランドをつくる目的が『世のため人のため地球のため』という意見は、間違っています。

ブランドの実務者は、“ブランド大好き業界”の人たちがつくったこのような『世のため人のため地球のため』などという一見素晴らしく思えるブランドの目的を現実社会の言葉に翻訳して、自分の言葉で語れるようにしなければなりません。
この点については、本連載の前篇である「ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論」をご覧ください。

私は、どんな時代においても、ブランドづくりの目的は『企業や商品が儲かる』と確信しています。

皆さんは「ブランドの目的が『企業や商品が儲かる』ことというのは、時代錯誤の古い考え方で間違っている」「ブランドづくりは、お金儲けのようなレベルの低いものではなく、『世のため人のため地球のため(社会貢献・CSR・SDGs等々)』に役立つことであるべき」という主張は正しいと思いますか?

一見正しそうに見えますし、確かにブランドの教科書では最近「SDGs」という言葉をがよく見かけます。多くの方がその主張を、素直に信じていても無理はありません。

「実務者ブランド論」でブランドづくりをスタートしよう!」で「私たちはブランド界ではなく、資本主義という現実世界の住人なのです。SDGsは、本業で儲けながら世界を変えることであり、儲かっていない企業に、世界を変えることなどできません」と簡単に触れはしましたが、これが言葉足らずだったと思うので、今回はしっかりと説明します。

実務者が陥りやすい「省略」の落とし穴を読み解くと?

この連載を通じて「ブランド論においては(専門家にとって自明の部分の)言葉の省略が多い。実務者は、その言葉の省略に気付かず早とちりをして間違ってしまうから、十分に注意しなければならない」という主張を続けて書きました。(※詳細は「ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論」をご覧ください。)

「ブランドの目的は『金儲け』などではなく、『世のため人のため地球のため』である」とのご意見は、省略に気付いていないことで間違ってしまった典型的な事例です。

では、この「ブランドの目的は、『世のため人のため地球のため』である」という文章にはどんな省略が潜んでいるのでしょうか?

省略の部分を省かずに書くと
「(大企業の)ブランドの目的は、『世のため人のため地球のため(しか選択肢がないことが多い)』です」となります。

この( )の部分の省略に気付かず、素直に読むと
「ブランドの目的は、『世のため人のため地球のため』です」となりますね。

大企業に限定するならば、この主張は正しいといえるでしょう。

しかし、あくまでも大企業に限った特殊な事例で、すべての企業・商品には当てはまるものではありません。

次ページ 「企業を好きになるポイントは、時代によって変化する」へ続く