アイドル戦国時代の変遷 2次元アイドルが市場をけん引する時代へ

【前回コラム】「20代以上の女性が4割を占める玩具市場 作品が“消費財”から“表現財”になる瞬間」はこちら

流行り廃りは、現在の社会における抑圧と表裏の関係にある。例えば、最近は“ヤンキー”(この言葉自体が死語化しているが)には憧れない時代だ。“イマドキ”の高校生の中では、普通に勉強ができる優等生がモテる。

つまり、一世代前までは学校という公的権威に対して逆らってタバコ・バイク・規則外制服といった反権威の行動を振りかざすことが”Cool”であったが、今は普通に学校にいって勉強ができるほうがある意味で“Cool”なのだ。

これは、「親を含めた権威性あるものが威圧的でなくなった」社会の反作用ともいえる。つまり、親が厳しかった時代は心理的に抑圧されており、そこの垣根を飛び越えてくれるヤンキーに憧れがあったものの、親が厳しくもなく良き理解者になった現代において、「反発」自体に必然性がなくなったのだ。

補導を受ける青少年の比率は1983年と、2000年代前半をピークとして、この10数年急落しており、2016年にはついに、戦後最小の数字を下回った。いわゆる“ヤンキー”や“不良”の数が戦後最も少なくなっていると思われるのが現在なのだ。

今回の記事では「アイドル」について触れるが、この不良のロジックはアイドルにも適用できる。そもそも、かわいい・癒し系といったアイドルは不況期の産物であり、好景気にはグラビア・レースクイーンといったセクシー系が好まれると言われる。

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中山 淳雄(ブシロード/執行役員、早稲田大学/MBA講師、エンタメ社会学者)
中山 淳雄(ブシロード/執行役員、早稲田大学/MBA講師、エンタメ社会学者)

メディアミックスIPプロジェクトの推進、アニメ・ゲーム・スポーツの海外展開を推進している。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、シンガポールに赴任後に現職。東大社会学修士、McGill大経営学修士。著書に『オタク経済圏創世記』(日経BP、2019)、“The Third Wave of Japanese Games(英語)”(PHP、2015)、『ヒットの法則が変わった』(PHP、2013)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHP、2012)ほか。

中山 淳雄(ブシロード/執行役員、早稲田大学/MBA講師、エンタメ社会学者)

メディアミックスIPプロジェクトの推進、アニメ・ゲーム・スポーツの海外展開を推進している。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、シンガポールに赴任後に現職。東大社会学修士、McGill大経営学修士。著書に『オタク経済圏創世記』(日経BP、2019)、“The Third Wave of Japanese Games(英語)”(PHP、2015)、『ヒットの法則が変わった』(PHP、2013)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHP、2012)ほか。

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