“推し”が生む圧倒的な熱量と消費―キャラクタービジネスのこれから
中山 淳雄(ブシロード/執行役員、早稲田大学/MBA講師、エンタメ社会学者)
メディアミックスIPプロジェクトの推進、アニメ・ゲーム・スポーツの海外展開を推進している。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、シンガポールに赴任後に現職。東大社会学修士、McGill大経営学修士。著書に『オタク経済圏創世記』(日経BP、2019)、“The Third Wave of Japanese Games(英語)”(PHP、2015)、『ヒットの法則が変わった』(PHP、2013)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHP、2012)ほか。
このコラムについて
数年前から、アイドルの世界だけにとどまらず、さまざま分野で“推し”という言葉が聞かれるようになった。“推し”とは言葉の通り、“推しているもの”を指すが、昨今ではその対象は幅広く、アイドルや俳優、アニメ・ゲームキャラクターなどさまざまなジャンルにわたっている。単なる“ファン”とは違い、「自分が最も好きなもの」が“推し”となるため、ユーザーの熱量は何よりも高く、その人物やキャラクターの応援には全力を尽くす。グッズ購入、ライブ・イベントへ参加、さらには投げ銭など投資・消費はいとわない。コロナの影響によって経済が鈍化するなか、“推し”が生むこれからのキャラクター市場に、企業はどう向き合っていくべきか。
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ユーザーは「消費者」でなく「共体験者」 N=200から始まる推しマーケティング
「推し」コラムも今回で最終回。この全6回の特集で私が言いたかったことは、実はたったの1つに集約される。それは、“ユーザーは消費者ではなく、共体験者である”ということだ。
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追っかけ=非モテの構図は前近代的? 「推し」に見る若者の「恋愛」意識の変化
第5回は、より「推し」について理解を深めるためのちょっと込み入った話。皆さんは、例えばアイドルの「推し」をどんなふうにご覧になっているだろうか。
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アイドル戦国時代の変遷 2次元アイドルが市場をけん引する時代へ
流行り廃りは、現在の社会における抑圧と表裏の関係にある。例えば、最近は“ヤンキー”には憧れない時代だ。“イマドキ”の高校生の中では、普通に勉強ができる優等生がモテる。
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20代以上の女性が4割を占める玩具市場 作品が“消費財”から“表現財”になる瞬間
音楽CD、MD(マーチャンダイジング)グッズ、フィギュア、投げ銭など、人々は「推し」にかける情熱に応えられる消費財を求めている。
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メガヒット作『鬼滅の刃』からみる「アニメ」と「マンガ」のビジネスの逆転
“推し”やヒットコンテンツを語るとき、この2019~2020年という時代において『鬼滅の刃』の話題を避けることはできないだろう。
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1人あたり消費額は約10倍!人々が熱狂する“推し”とは?
本コラムではこうした熱量の高い“推し”を生む「コンテンツ」が、なぜこれほどまでにユーザーの心をとらえるのか、について追究していきたい。