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加速するリテールメディア構築 デジタル広告が進化する方向性

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小売DX支援やDMP事業を行うアドインテの稲森学氏は、リテールメディアの台頭を指摘する。海外ではすでに多くの事例が生まれており、その流れは日本でも始まっている。小売、メーカーにどのような変化が起こっているのか。

いま、従来はデータになっていなかったオフラインデータと、既存のオンラインデータを掛け合わせてデータ分析することで、顧客理解の解像度を上げようとする動きが活発化してきている状況です。

さらに、それをメーカーと協業する形で活用する「リテールメディア構築」の流れが加速しています。パーソナライズを実現するデータプラットフォームと機械学習を活用した高度な分析により、多様なデータから意味を引き出せるようになってきました。それを推進しているのは、BeaconやAIカメラなどで、今までデータにできなかったものが可視化できる環境が整ってきているのです。

海外ではウォルマート、クローガー、ホーム・デポ、ベスト・バイなどが自社保有データとデジタル広告の融合によるリテールメディアを構築しています。それらは大きな成果をもたらしており、日本においても同様の成功事例が生まれつつあります。業態でいうとドラッグストアが他の業態よりも先行している印象です。

メーカーと小売へのメリット

このようにオフラインデータ活用の動きが活発化していますが、これらDX領域の課題としては、やはりトップの意思決定がないとうまく進まないということです。現場でこういった新しい動きを進めたいと思っても、組織を横断することは難しく、やはりそこはトップの意思決定がないと結局縦割りになってしまって、得られる効果を最大化することができません。

ですがリテールメディアは、メーカー、小売、ユーザーにとってもメリットが大きい取り組みになると確信しています。メーカーにとっては、購買データを起点にしたデジタルマーケティングが実施でき、購買行動変化まで分析できるのは大きな進展だと思います。従来のデジタル広告ではできない、競合商品購入者、直近自社商品を離脱した人などのセグメント設定ができます。

最近は、メーカーのマーケティングや宣伝部の方々からの相談も多いです。このようにメディアとして認識いただき、活用いただくことによって、メーカーと小売の両者が得られるメリットは大きいはずです。

デジタル広告の進化

これからデジタル広告が進化していくには、OSの規制に左右されないリテールメディアを活用する方向性が有効だと考えています。店舗で購入したのかといった行動変容までレポーティングできるのは、来店計測とかのレベル感ではなく大きなアドバンテージです。

店舗のDXでいうと、今後これらのデータは店舗オペレーションにどう活かせられるかが次のフェーズです。今は分かりやすい広告や販促に行きがちですが、オペレーションにどう活用できるのかが重要ですね。サプライチェーンの高度化、食品ロス削減、ダイナミックプライシングでの収益最大化など、新たな活用も視野に入れながら大胆にチャレンジしていきたいと思います。

アドインテ
取締役 副社長兼COO
稲森 学 氏