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“売上につながる”マーケティングPRを実現する、「4P+2P」の視点とは

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食品・ヘルスケア領域に特化したPR提案・実施や、マーケティング戦略、ブランドマネジメントとそれにかかわるプロジェクトマネジメントの支援を提供するエムスリー・カンパニー。同社は、これまで、空気をつくって広告やプロモーションが効きやすい環境をつくるという文脈で語られることの多かった戦略PRから、さらに一歩先へ進めた“売上につながる”マーケティングPRとして、「マーケティング4P+2P」を提唱。これはどのような提案なのか。代表取締役社長の松本淳氏に聞いた。

株式会社エムスリー・カンパニー 代表取締役社長 松本 淳 氏
1995年プラップジャパン入社。キシリトール日本上陸プロジェクト、P&Gファブリックケア事業部(ファブリーズ、アリエール)、医療機器メーカーなどのマーケティングPRに従事。その後、飲料会社マーケティング部門を経て、食とヘルスケアの分野に特化したエムスリー・カンパニーを創業。カルビー、ゼスプリ、ポッカサッポロ、カネカなどの戦略開発サービス、マーケティングPRを実践。

 

PeopleとPublicの2Pを加え新視点の戦略で成果を出す

エムスリー・カンパニーは2005年、食品とヘルスケアに特化したマーケティングPR会社として代表取締役社長の松本淳氏が創業。事業会社の中・長期的な事業の方向性策定から、マーケティング戦略、ブランドマネジメント、PR施策の実行やクリエイティブ開発、デジタルプロモーションまで、事業成長に寄り添ったサービスを提供している。同社がマーケティングPRの肝としているのがマーケティング4P(Product、Price、Place、Promotion)に、「People:ピープルインサイト(人のリテラシー×行動)」と「Public:パブリックインサイト(潜在的な社会の欲求及びニーズ)」の2つを加えた「4P+2P」という考え方だ。

「4Pを主体的に考える事業会社は多いですが、どうしてもプロダクトアウトの発想になりがち。手にとっていただくお客様のピープルインサイトと、社会や世の中というパブリックインサイトが抜けていることが多く見受けられます。そこに、私たちが2Pの視点を加えることでブランドや商品のコンセプトの説得力、魅力が増し、認知とは異なる生活者や社会に入り込む、『売上につながる』戦略が生まれます」と松本氏は説明する。

ピープルインサイトは、「情報に対するリテラシー」と「購買行動の熱量」という軸で人を見るのが特徴。プロダクトアウトの傾向が強い日本企業に「人(顧客)」視点を提供する。

同社へ依頼の多いヘルスコミュニケーションの戦略開発では、ピープルインサイトを探る独自調査を定期的に実施。これがデプス調査と量的調査を組み合わせた独自の「健康クラスタ」調査だ【図表1】。対象者イメージを明確化し、ブランドが対象者の生活へどう入りこむかのシナリオづくりを重視することで、マーケティング施策の精度を高める提案をしている。

2つ目のパブリックインサイトは、潜在的な社会ニーズに応えて、ブランド、消費者、市場を取り巻く社会ごと動かすことでこそ、大きな需要が創出できるという考え。消費者の生活導線に入り込むシナリオづくりと、社会の潜在ニーズに応えて社会ごと動かす、この2Pと4Pを融合させる戦略開発と施策実行が、成果を出すためのエムスリーの提案の軸となる。

エムスリー流PRメソッド「社会発想」と「ゲームチェンジ」

このようなエムスリー流PRメソッドの起源は松本氏の経歴に由来する。松本氏は1995年にPR会社のプラップジャパンに入社し「キシリトール」やP&Gの「ファブリーズ」などのマーケティングPR活動に従事。その後、伊藤園のマーケティング本部で事業会社サイドの理解を深めたのち、エムスリー・カンパニーを設立した。

「PRでブランドビジネス全体にインパクトを与えることを常に考えてきました。伊藤園で事業者の立場を経験した際、事業の本質を理解するエージェンシーの少なさを実感。まずは事業を一緒に考えながら、その中で『打ち手を任せてもらえる』関係性をつくりたいと、起業を決意しました」と話す。そんな同社のメソッドにおけるキーワードが「社会発想」と「ゲームチェンジ」だ。

「ブランド構築やコミュニケーションには、社会を味方につける『社会発想』が必要。また、よくPRで認知が上がらないとの声もありますが、本来PRが得意なのは状況を変える『ゲームチェンジ』、新しい土俵をつくることです。土俵をつくるとは、事業会社が製品・サービスを供給するための需要をつくることで、そのためには人を引き付けて、気づきを与える必要がある。だからこそ、社会を巻き込むプロモーションが必要になるのです」【図表2】。

 

社会発想でゲームチェンジに貢献した事例として、カルビーの「フルグラ」が挙げられるという。

「『フルグラ』では、当時流行りだしていた『朝活』を社会的なテーマとしました。そこに『朝食革命の象徴、第3の朝食』と打ち出し、『フルグラ』をシリアル市場ではなく朝食市場を主戦場に、お米、パンではない第3の朝食としてカテゴリーに加えたのです。ブランドが社会を動かす標語として『朝食革命』が必要だった」と語る。

戦略立案から施策の実行まで担えるエクセキューション力をはじめ、カテゴリーごとの売上目標、それに基づくブランドごとの売上目標を踏まえ、投資できるマーケティング予算まで算出、中期事業計画までサポートするプロジェクトへの踏み込み力も同社の強みだ。

さらに同社にはメーカーのマーケティング職やブランドマネジメント出身者が在籍。クライアント課題に真摯に向き合いながら松本氏のメソッドを体系化し、サポートしている。また、マーケティング戦略の企画・実施を求められる一方で、PR会社としてメディア・リレーション業務のリクエストも当然ある。そのためテレビ番組制作などの経験を持つメディア出身者を軸としたメディアチームを設置し、現場のPR活動も支援。コミュニケーション、プロモーション面は、広告業界出身者を中心に、プランニング全般はもちろん、必要に応じてクライアントと共に、各エージェンシー向けのブリーフ策定まで行う。

「健康価値」に着眼すれば他業種のサポートも可能

同社は今後も食品系の事業会社をサポートする一方で、社会環境を踏まえて他業種含め、商品に「健康価値」を加えることに注目している。住宅メーカーや家具メーカーが例に挙げられるが、現在オフィス家具には昇降機能付きのデスクが見られており、これも「健康価値」のひとつだ。

「これまでは健康という側面ではとらえられていなかった製品だからこそ、新しい付加価値として機能する。検討する価値は大きいと感じています。食品とヘルスケアに特化し『エビデンス・ベースド・ヘルス・コミュニケーション』(EBHC)に注力してきた我々には、相当数の専門家との付き合いがあり、一緒に先行論文を調べたり、エビデンス開発したりと研究サポートも行っています。机や椅子、絨毯、コロナ禍では空気も健康価値と紐づけることができる。他業界にも“新たな土俵”をつくり出すことで、我々のサービスを生かしていきたい」と展望を語った。
 



お問い合わせ
株式会社エムスリー・カンパニー
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