はじめての周年計画、目的の設計、スケジュールは?

先を見通した広報計画が立てにくい状況においても、分かりやすく節目をつくり出せるのが「周年」事業。自社の原点や価値を見つめ直し、未来への期待を高める周年事業は、ステークホルダーと良好な関係を構築し、企業を進化させるチャンスだ。「うちの会社の周年はまだ先…」と思いがちだが、周年事業を企画し、推進していくプロセス自体が、組織の成長や従業員の結束力を高めることにもつながる。ここでは周年の目的設定やスケジュール感などについて、月刊『広報会議』が取材した事例の傾向からレポートする。

※本稿は広報会議2022年2月号周年事業特集の抜粋です。

 

周年事業のテーマ、目的を決める

「記念式典でステークホルダーに感謝を伝え、記念誌を社内に配布⋯」こうした枝葉の施策から考える始めると、一貫性のない周年事業になりがちだ。全社を挙げての周年事業を通して何を成し遂げたいのか。まずは「目的」をしっかりと定めておきたい。

企業が今、抱えている課題から導き出せることはないだろうか。例えば「新しい社員が増え、会社の価値について自身の言葉で語れる人が少ない」という課題があるならば、「会社の歴史に触れながら、会社の価値や未来を考えるワークショップをして、その成果を展示しよう」。「事業が増えているのに、企業のイメージが旧来のままになっている」という課題があるなら、「ステークホルダーがどのようなイメージを抱いているか調査するところから着手して、新しいブランドステートメントをつくり、記者発表しよう」といったようにだ。

経営上の課題から発案され、企業の未来に向けた企画であれば、社内も巻き込みやすい。会社の歴史を振り返り、ステークホルダーへの感謝を伝えることはもちろん、組織の課題を解決していくために、周年の節目を活用できないか、という視点も持っておきたい。

「企業が現状抱えている課題」から「周年の節目に何ができるか」発想する

 

周年事業で活用したい施策・ツールの例

●社内報特別号、社史、記念誌

●記念サイト(事業のあゆみ、周年コンテンツを格納)

●カルチャーブック、社員フォトブック

●社内ポスター、社内ポータルサイト

●社員旅行、運動会、アイデアコンテスト企画

●記念式典、パーティー

●ノベルティ(同じ周年の企業のお菓子、カレンダーなど)

●記念商品の発売、制服の刷新

●社長取材の誘致、記者発表会

●企業広告

●社内展示、企業ミュージアムの開設

●地域社会への寄贈、寄付

周年事業の計画の例

 

スケジュールを立てる

まずは、創業記念日など節目となる日をおさえておく。その前後に、対外的な発表や式典など、プロジェクトの山を持ってくることが多い。だが社内は、創業記念日の前から盛り上げていくことができる。まもなく周年を迎えることを知らせ、周年事業の目的を発信し、社員を巻き込んだプロジェクトを推進していく。また「周年イヤー」として、対外的に長期のキャンペーンを行ったり、記念サイトを立ち上げ、継続的に周年関連のコンテンツを発信していったりするケースも見られる。

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