大阪ガスは、2025年度版の人的資本レポートを発行した。2024年9月に初版を発行して以来2年目となる今回は、ビジュアルやメッセージ性を大幅に進化させ、コンテンツの充実を図った。同社は人的資本レポートをどのように進化させ、ステークホルダーとのエンゲージメントを深化させるのか。その取り組みについて、同社人事部人事企画チームの藤井大樹氏に聞いた。
ターゲットの絞り込みが課題に
大阪ガスが2024年に初めて人的資本レポートを発行した背景には、2つの動機があった。1つは、統合報告書やサステナビリティレポートなどはあったが、人的資本に特化した媒体はなかったこと。もう1つは、社内の人事制度を横断的に説明し、全体像を共有するツールが必要だったことだ。
2024年度版では、経営戦略と人事施策の連動性をストーリーとして伝えることを重視した。この点、藤井氏は「我々の人事施策が、経営戦略のどこと連動しているのかを社内外にきちんと説明したいという意識がありました」と話す。
ただ、2024年度版には課題も残った。社内外のあらゆる層を読者として想定した結果、「ターゲットがぼやけた状態」になってしまったという。
2024年度版の「経営戦略と連動した人材戦略のストーリー」
自分ごととして捉えてもらう
2025年度版のレポートでは、こうした点を踏まえて改善を図った。まずは、ターゲットの明確化だ。従業員やキャリア入社を考える社会人、学生といった「将来の仲間」に主眼を置いた。この明確なターゲット設定が、レポート全体のコンセプトを方向づけた。
また、そうしたターゲットに「自分ごと」として捉えてもらうため、従業員インタビューのコンテンツを拡充した。様々な従業員を紹介することで、読者が自身のキャリアや働き方をイメージしやすくなることを狙ったものだ。藤井氏は、「従業員は、自分が知っている人が出ていれば読みたくなるでしょう。また、これから入社しようという人に対しては、当社の制度や仕組みを活用して働く従業員を紹介することで、働くイメージを持ってもらうことができます」と説明する。
インタビュー対象者の選定にあたっては、特定の部署や職種に偏らないよう配慮したという。「いわゆるマジョリティだけでなく、様々な分野で活躍している人にスポットライトを当て、できるだけ幅広い層に響くように意識しました」(藤井氏)。
インタビューでは幅広く従業員を紹介
レポートの対象範囲についても、大阪ガス単体からグループ全体へと拡大した。グループ共通の理念のもとで各社が展開する多様な取り組みを紹介することで、「Daigasグループ」として人的資本経営に取り組む姿勢を明確に打ち出した。併せて、グループのデータを示す「ひとめでわかるDaigasグループ」のコンテンツも刷新。ビジュアル面を強化するとともに、レポートの冒頭に配置することで、その後の内容を理解してもらう助けとした。
2024年度版の「ひとめでわかるDaigasグループ」
2025年度版の「ひとめでわかるDaigasグループ」。レポートの冒頭に配置した。




