書店の未来に向けた新たな挑戦
本の街・神保町の“象徴”がついに帰ってきた。2022年に一時閉店していた「三省堂書店 神保町本店」が、「三省堂書店神田神保町本店」として3月19日にリニューアルオープンした。旧店舗は建物の老朽化などを理由に2022年5月8日に閉店。閉店時には「いったん、しおりを挟みます。」という巨大なしおり広告が注目を集めたが、今回の帰還をもって亀井崇雄社長は「約4年間挟んでいたしおりを外し、三省堂書店の第2章が始まる」と意気込みを示した。
オープニングセレモニーのテープカットの瞬間
開業当日にはオープニングセレモニーが行われた。樋口高顕千代田区長のほか、「壬生義士伝」「蒼穹の昴」で知られる浅田次郎氏、「逃がれの街」「水滸伝」などの著作で知られる北方謙三氏も参加。長年、神保町の三省堂書店に親しんできた作家たちが、その帰還を祝った。
亀井社長は「書店経営の困難が続くこの時代に、新しい書店を誕生させることは一つの大きな希望になると信じて、従業員一同、今日まで進んできた」とあいさつ。この4年間を、書店の未来に向けた挑戦だったと振り返った。
新本店のコンセプトは「Entrance to the World」。偶然の本との出会いを通じて、さまざまな世界への入り口となる場所を目指す。店舗の特徴を表す言葉として、「歩けば、世界がひろがる書店。」も掲げる。
「世界の展望台」から見た一階の光景。オープン直後から多くの来店客でにぎわった
店内では、1階に左右へ伸びる本棚で構成した「知の渓谷」を配置した。ほかにも「世界の展望台」「探求の洞窟」「好奇心の泉」など特徴的な空間を設け、ECでは得にくい“本との偶然の出会い”を、リアル店舗ならではの体験として提供する。2階には文具・雑貨コーナーと催事スペース、3階にはイベントスペースとカフェを備え、4階には「THE ジャンプショップ 神保町」も同時オープンした。
店づくりでは新しい挑戦を取り入れつつも、基本ターゲットは従来通り50〜60代男性とし、総合書店としての王道を重視した。コミックやキャラクターグッズに大きく寄せるのではなく、これまで培ってきた品揃えへの信頼を軸に据える。一方で、神保町を訪れる新規客にとっても「読書の入り口」となる空間設計を目指した。

