【出席者】
タカラレーベン 執行役員 マンション事業本部 事業開発戦略局 事業戦略室長 兼 プロダクト&CX オフィサー 兼 建築統括管理室 計画推進部長 我妻美香 氏
東京ガス リビング戦略部 マーケティング開発室長 兼子健 氏
(部署・役職は取材当時のもの)
BuySell Technologies 執行役員 マーケティング統括本部 統括本部長 田中奏真 氏
ユナイテッドアローズ OMO本部 本部長 岩井一紘 氏
写真左から、東京ガス 兼子健 氏、ユナイテッドアローズ 岩井一紘 氏、タカラレーベン 我妻美香 氏、BuySell Technologies 田中奏真 氏
顧客体験の最大化に必要なこととは
宣伝会議は3月4日、「CMO X」の第41回研究会を開催した。タカラレーベン、東京ガス、BuySell Technologies、ユナイテッドアローズの4社が参加し、各社の事業概要やカスタマージャーニーマップ、ブランドが属するカテゴリーの課題や戦略方針などについて議論した。
各社の顧客が商品を認知してから購入に至るまでの一連のプロセスを可視化した「カスタマージャーニーマップ」と、企業が提供する独自の価値(USP)について、4人がそれぞれ発表した。
東京ガス 兼子健 氏
東京ガスの兼子氏は、電力事業を例に挙げてカスタマージャーニーを解説した。「お客様が電気の契約を検討するタイミングの7〜8割は引っ越しの時である」と指摘。しかし、電力自由化から10年が経過した現在でも、多くの消費者は新電力会社を十分に認知しておらず、慣習的に電力会社を選択する傾向が根強いという。この低関与商材特有の課題に対し、同社は140年のガス事業で培った「信頼感」をUSPとして掲げる。
インフラ事業は選択する喜びが少ないため、ハウスクリーニングなど暮らし全体のサービスをワンストップで提供することで、顧客のあらゆる困りごとに寄り添う存在を目指している。この「生活者のお困りごとに寄り添う」という姿勢こそが、同社のDNAであると強調した。
BuySell Technologies 田中奏真 氏
BuySell Technologiesの田中氏は、具体的な顧客事例として62歳女性のジャーニーを言語化した。その顧客は、親の施設入居に伴う実家の整理というライフイベントを機に、新聞広告で同社を認知し、信頼できる大手企業として選んだという。
ここで最も重視したのが「出張買取の利便性」だ。同社のUSPは、大手ならではの信頼感を背景にした出張訪問買取の利便性であり、年間45万件(グループ合計)に及ぶ出張訪問買取の実績がその証左となっている。利用者の約7割が遺品整理や生前整理といった切実なニーズを抱え、「利用者の86%が50代以上のシニア層」で占める。さらに、査定士が訪問を終えた後に本社から確認の電話を入れるなど、きめ細やかなフォローアップ体制を構築しており、これが顧客の安心感を醸成する重要な要素として高く評価されていると説明した。
ユナイテッドアローズ 岩井一紘 氏
ユナイテッドアローズの岩井氏は、同社が従来、店舗での接客体験を価値の中心に据えてきたため、デジタル上のカスタマージャーニーという概念が希薄だったと明かした。しかし、アプリのリニューアルを機に、「お店の体験でがっかりすることをなくすためのもの」という明確なコンセプトを策定。例えば、店頭で在庫切れの商品があっても、ECとシームレスに連携し、翌日には顧客の手元に届けられるといったOMO体験を構築している。
岩井氏は、「最大のパーソナライズは店頭スタッフが提供するものであり、アプリはその体験を最大化するためのサポートツールである」と位置づけを語る。同社のUSPは「ヒト・モノ・ウツワ」の三位一体であり、中でもスタッフが体現するホスピタリティこそが、他社にはない競争優位性の源泉、すなわちコアコンピタンスであると強調した。
タカラレーベン 我妻美香 氏
タカラレーベンの我妻氏は、新築マンションという一点ものの高額商品における販売手法の変革について語った。従来は物件ごとにモデルルームを建設するのが一般的だったが、同社はその常識を覆し、「全国の主要拠点に体験型の『サロン』を展開」しているという。このサロンでは、顧客が複数の物件を効率的に比較検討できるだけでなく、VRシアターを用いた没入感の高いバーチャル内見や、最新の住宅設備について体験が可能となっている。
同社のUSPは、単に完成したマンションを販売するのではなく、「『これからの住まいのあり方』をお客様とともに考え、提案し、進化していく」ことであると定義。ハードの提供に留まらない、新しい価値創造に挑戦していると述べた。
3時間におよぶ研究会の休憩時間に提供される「本日のデザート」バスクチーズケーキ






