KDDI子会社329億円流出の衝撃、親会社資金で延命した「不正のサイクル」 売上99.7%が架空だった広告代理事業

都内で記者会見を実施

KDDIは3月31日、連結子会社のビッグローブと、その子会社ジー・プランの広告代理事業で発覚した架空循環取引について、都内で記者会見を開いた。広告主からの委託がないにもかかわらず、あるように装って上流代理店から架空の広告掲載業務を受注し、下流代理店に発注した上で報酬を循環させ、実体のない売上を計上していた。対象事業の売上の約99.7%が架空取引によるものだった。

訂正されるべき売上高は累計2461億円、売上総利益は499億円のマイナスとなり、取引先の手数料分として329億円がグループ外に流出していた。特別調査委は、子会社の関係者2人が主導・実行した取引が、遅くとも2018年8月から2025年12月まで続いたと認定。一方で、こうした不正の長期化を許した背景には、KDDIグループの内部統制や子会社管理体制の不備もあったとしている。

同社は1月14日に不適切取引の疑いを公表し、外部の弁護士と公認会計士で構成する特別調査委員会を設置していた。2月6日に経過報告を公表した後、31日の会見で松田浩路社長らが調査結果と今後の対応を説明した。KDDIは、不正会計問題の温床となったビッグローブとジー・プランのインターネット向け広告代理事業から撤退する方針も固めた。

ビッグローブは、KDDIが2017年1月に完全子会社化。固定回線のインターネット接続サービスやモバイル通信事業を展開しており、現在も同社の連結子会社としてグループ内に位置づけられている。今回問題となったのは広告代理事業だが、少なくとも現時点でビッグローブ本体の通信事業やKDDIとの資本関係は続けるとしている。

売上99.7%が架空、21社を巻き込み拡大

問題となったのは、広告主から委託を受けた広告代理店と、Web媒体への掲載を担う掲載代理店の間に入り、広告取引を仲介して成果件数に応じた手数料収入を得る事業だ。ビッグローブとジー・プランは、上流の広告代理店と下流の広告代理店の間に入り、案件をつなぐ役割を担っていた。

しかし実際には、広告主からの委託がないにもかかわらず、あるように装って上流代理店から架空の広告掲載業務を受注し、下流代理店に同業務を発注していた。さらに、上流代理店、本件子会社、下流代理店、上流代理店という順で報酬を循環させることで、実体のない売上を作り出していた。

調査では、2017年度以降を主な対象期間として資料確認を進めた。約337万件の電子データを収集し、そのうち約12万3485件を確認。関係者へのヒアリングは80人に延べ98回行い、役職員778人へのアンケートも実施した。

報告書は、遅くとも2018年8月から2025年12月まで架空循環取引が継続していたと認定した。ジー・プランの当時の部長a氏が主導し、2020年4月以降はb氏も協力していた。対象期間中の広告代理事業の取引先は218社あり、そのうち21社がこの商流に含まれていた。

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