「STOP! 海賊版」Web動画、漫画・アニメの海賊版ユーザーの心に潜む「コンテンツ愛」に訴える

文化庁は、2026年1月にWebムービー「100年後も、漫画やアニメはぼくらを救ってくれるだろうか?【STOP! 海賊版】」を公式YouTubeで公開した。

100年後も、漫画やアニメはぼくらを救ってくれるだろうか?【STOP!海賊版】

本作は、文化庁の委託事業である「STOP! 海賊版」キャンペーンの一環で制作されたもの。無断で公開・販売されている漫画やアニメなどの海賊版の利益は、作者に還元されないことから、正規版を読んでほしいことをメッセージしている。動画にはアトム、鬼太郎、ゴルゴ13、北斗の拳、ガンダム、うる星やつら、ドラゴンボール、タッチ、エヴァンゲリオン、クレヨンしんちゃん、ジョジョ……など、1960年代から最近までの漫画・アニメのヒーロー、ヒロインたちが登場する。いずれも世代を超えて愛されているキャラクターたちだ。

「文化庁さんの公募では、『海外における日本コンテンツ保護の普及啓発』がテーマでした。つまり、漫画、アニメ以外でも海賊版被害のある音楽・映画、ゲームなどもその対象でしたが、その中で特に被害額が大きい漫画とアニメに絞って訴求することをご提案しました」と、クリエイティブディレクター 井口雄大氏。

井口氏は、2024年に漫画の海賊版対策に取り組む一般社団法人ABJ(以下ABJ)のミュージックビデオ(以下MV)「ありがとう、君の漫画愛。」を制作している。出版社の垣根を超えて人気漫画61作品の1シーンを紡ぎ、Vaundyによるオリジナル曲による、児玉裕一監督ディレクションのMVは大きな話題を集めた。さらに、このときは世界4カ国同時で新聞広告も展開している。

漫画×Vaundy「ありがとう」

「前回はABJさんの取り組みでしたが、今回は文化庁さんの取り組みで、漫画だけでなくアニメも含まれています。その際、漫画の海賊版対策に取り組むABJさんの課題とも合致しており、また2年前の実績もあったので、漫画の部分でご協力いただくことができました」

映像制作の目的は「海外における日本コンテンツ保護」だが、そもそも日本以外の国では正規版のコンテンツ流通量に差がある。また言語や市場規模の問題で、正規版の供給がビジネスとして成立しない国もある。

正規版がないため海賊版を読まざるを得ないファンがいる一方、正規版を閲覧するコアファンからは海賊版被害を報じる記事への反発もあるという。こうした状況から、「海賊版を読むのをやめよう」と伝えるだけでは解決しない背景がうかがえた。

「そこで大きな反響をいただいたABJでの経験を土台に、『海賊版を読むのはやめよう』から『正規版を読んでくれてありがとう』とポジティブにメッセージすることで、海賊版問題の本質、つまり、海賊版を読むことはコンテンツ産業の未来を破壊するということに共感してもらい、『正規版を読む』ことを推奨することがいま僕たちにできることだと考えました」

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