次世代との接点づくり、企業が越えるべき「3つの壁」とは ブランド体験研究会で見えた、α世代の “原体験” を資産に変えるLTV戦略

消費者の価値観やメディア接触が多様化する現代において、次世代、特にα世代との接点をいかに構築し、長期的なブランド価値につなげるかは、多くの企業にとって喫緊の課題となっている。ブランドの持続的な成長を実現するためには、次世代の心に深く刻まれる「原体験」をいかに設計するかが、これまで以上に重要となる。

こうした課題意識のもと、キッズスターは3月18日、「次世代LTV最大化に向けたブランド体験研究会」を開催。異業種のマーケターが集い、魅力的な「原体験」をどのように設計し、いかに戦略的な投資へと踏み出すべきかについて議論を深めた。本記事では研究会当日の様子をレポートする。

次世代マーケティングに関心、業界を代表する12社が参加

研究会には、食品メーカーやエネルギー、百貨店、証券会社、出版社、外食、電機メーカー、不動産、ヘルスケアなど、各業界を代表する企業を中心に幅広い業種の12社13人が参加した。

3月に開かれた「次世代 LTV 最大化に向けたブランド体験研究会」

キッズスターは、「子どもの夢中を育て、応援する」をミッションに、子ども・ファミリー向けのプロダクトを展開している。主力サービスは社会体験アプリ「ごっこランド」で、国内累計ダウンロード数は850万を突破し、現在の導入企業数は90社を超える(2026年4月現在)。

2024年7月からは、「ごっこランド」の世界観をリアルに再現した親子向け体験型イベント「ごっこランドEXPO」も開始した。2年間で総参加者数は7万人を突破し、「Gokko World」として海外展開も進んでいる。

次世代への接点づくりにおける「3つの壁」

各グループが議論した「As-Is」と「To-Be」

多くの企業にとって、次世代との接点づくりは重要なテーマだ。一方で、どのタイミングで投資すべきか、どの程度の投資を行うべきか、どのように社内で説明すべきかといった点で判断が難しい領域でもある。

こうした障壁を「タイミングの壁」「規模の壁」「社内説得の壁」の3つに整理。短期KPIに偏重しがちな現状(As-Is)から、次世代接点をブランド戦略に組み込み、短期・長期のKPIを両立する姿(To-Be)へのギャップについて、各グループが議論を交わした。

参加者は3グループに分かれ、約65分のグループワークを実施。前半25分は現状課題の共有に充てられ、「次世代に対するコミュニケーションで、今やっていること・迷っていること・投資判断ができないこと」を整理した。

後半25分は未来志向の議論として、「ブランドの原体験をどう設計するか」「短期KPIと中長期ROIのバランスをどう考えるか」「もし明日から理想のブランディングを始めるなら何から手を付けるか」をテーマに意見を交わした。

議論から見えた各社のリアルな葛藤

各社の課題を浮き彫りにしたグループワーク

グループワークでは、業種を超えた共通課題が次々と浮き彫りになった。まず俎上に上がったのは、若年層におけるブランド認知の急速な低下だ。

食品メーカーが「自社のジングルの認知度が30代以下で急激に落ちている」とデータを示すと、電機メーカーも「10年後、20年後に自社を知らない人たちが世の中の中心になったとき、大丈夫なのかという危機感がある」と続いた。数字と肌感覚の両面から、同じ未来への懸念が共有された瞬間だった。

議論はさらに「購買者と使用者の乖離」という構造的な問題へと深まった。エネルギー会社は、「親世代がメンテナンスする姿を子どもに見せることが、現実的な原体験設計ではないか」と問題提起。食品メーカーも、子ども向けの食育活動が親の購買に直結しないジレンマや、「料理が面倒」というトレンドの中でいかに食への興味を育むかという難題を率直に明かした。

こうした課題を実行に移す際の障壁として、最後に共有して挙がったのが社内説得の難しさだ。不動産会社は、「高校生になるまで接点がなく、それまでのアプローチが難しい」と語り、多くの担当者が、「長期施策の価値は可視化しにくく、短期KPIを求める経営層への説明が壁になる」という点で一致した。次世代投資の重要性は全員が認識している。ただ、実行に踏み出すための「社内の言葉」が持てていないという現実が、改めて浮き彫りになった。

「原体験」「代理購買」「先行性」が共通テーマに浮上

各グループの発表では、こうした葛藤への打開策として、業種を超えて「体験」をキーワードとする共通認識が形成された。

Aグループは、「認知・先行性・継続性」の3軸で課題を整理し、中でも「先行性(選好形成)」を最重要課題と位置付けた。

共同ワークショップを通じて、キャリア課題に向き合う若年層へ体験を提供した事例を紹介。証券会社は、キャラクターを活用したUIと、悪い原体験の解消に取り組む事例を共有した。同社の「悪い原体験」の解消事例などを踏まえ、「デジタルからフィジカルへ、体験を通じた先行性の形成が鍵になる」という結論を導いた。

食品メーカー3社で構成されたBグループは、「料理離れというトレンドは変わらないかもしれない」「子どもへの直接コミュニケーションは購買に結びつきにくく、結局は親世代への設計も必要」という厳しい現状認識を起点に議論を展開。そこから導かれたのは「押しつけないブランドの存在感」という逆転の発想だった。

「子どもが初めて料理をするという成功体験に寄り添い、そこに自然に食品ブランドが存在することが理想」「企業名を前面に出さず、体験の後で気づく設計が有効」という方向性に加え、少数でも熱量の高いファンをつくり、口コミの起点にする戦略も結論として提示された。

Cグループは、「次世代ブランドエコシステム構想」として議論を整理し、「ライフステージと接点の分断」を中心課題に据えた。スポーツクラブなどを運営する企業が実証実験中の、子どものスイミング映像をAIで保護者に提供する取り組みを、「体験を断続的につなぐ接点設計」として紹介。また、子どもが口コミを通じて親に自社ブランドを勧める「代理購買トライアングル」の重要性も強調した。「ゆりかごから墓場まで一貫したブランド設計は幻想かもしれないが、それぞれの接点でポジティブな記憶をつくることはできる」という発表者の言葉が、議論全体を締めくくった。

キッズスターが総括「子どもが家庭内インフルエンサーに」

3グループの発表を受け、キッズスターは本研究会を通じて浮かび上がった実務的示唆を3点に整理した。

1つ目は投資の正当化だ。短期KPIで回収しにくい次世代向け施策については、好意度とLTVの相関データなどの定量的根拠を用意し、「ワンクッション・ツークッション・スリークッション先の収益化」として経営層に説明することが求められる。

2つ目は体験設計の方向性だ。企業名やブランド名を体験の中に自然に溶け込ませる設計、五感を通じたリアル体験、子どもと親の双方を対象にした購買設計など、「押しつけでないブランド体験」の有効性が各グループの議論を通じて共通認識となった。

3つ目は継続性の担保だ。単発のCSRイベントで終わらせず、次世代との接点をブランド戦略として組み込み、複数年にわたって施策をつなぎながら、原体験を積み重ねていく仕組みの構築が不可欠だとされた。

キッズスターが提供する3つのソリューション

閉会の総括でキッズスターが強調したのは、「利用者(子ども)と購買者(親)が異なる」という構造の本質的な重要性だ。「そこへの投資がワンクッション・ツークッション・スリークッションを経て収益につながるプロセスを、経営層に対して丁寧に示す必要がある」と述べ、各グループの議論に通底していた「企業PRを前面に出すと拒否反応が生まれる」という認識を「今の時代のコミュニケーションの本質」と位置付けた。

実際に、「ごっこランド」の導入企業からは、子どもがプレイを通じて商品を欲しがるようになり親の購買行動が変化したという声が複数寄せられているという。子どもが家庭内インフルエンサーとなり、購買意思決定に影響を与える――。そのメカニズムこそが、次世代LTV戦略の核心だ。「足元のKPIと10年後・20年後の中長期KPIをセットで捉えるブランディングこそが、次世代LTVを最大化する有力なアプローチになる」というキッズスターの言葉が研究会全体を締めくくった。

お問い合わせ

株式会社キッズスター

住所:東京都渋谷区神泉町9−5 フジタ・インゼックスビル 5階
Mail:alliance@kidsstar.co.jp
URL:https://www.kidsstar.co.jp/gokkoland

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