「本格」だらけの市場で埋もれない エスビー食品がパスタソースCMに込めた2つの戦略

25周年を迎えた「名店の味」を改めて訴求

エスビー食品は、レトルトパスタソース「予約でいっぱいの店のパスタソース」シリーズ8品を全面刷新し、新テレビCM「名店の味」篇を4月15日から放映している。CMには女優の伊藤沙莉を起用。発売25周年を迎えたロングセラーとしての価値を、あらためて訴求していく狙いだ。

同シリーズは、イタリア料理店「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」(東京・中央)のオーナーシェフとして知られる落合務氏が監修する商品で、家庭で手軽に本格的なイタリアンパスタを楽しめるシリーズとして展開してきた。

2026年に発売25周年を迎えたことを機に、2月9日にリニューアルした。味わいを磨き上げるとともに、パッケージも白を基調とした華やかなデザインへ刷新した。

今回の全面刷新について、エスビー食品の広告担当者は、シリーズの核である「名店の味が自宅で手軽に楽しめる」というコンセプトを守りながら、今後も長く愛されるブランドであり続けるため、25周年の節目に大幅刷新へ踏み切ったと説明する。

従来の非日常感や高級感を打ち出した黒基調から、日常の延長にあるちょっとした特別感を意識した、明るく華やかなトーンへ切り替えたという。

CMに込めた2つの戦略的意図

S&B 予約でいっぱいの店のパスタソース「名店の味」篇 30秒

新CMの舞台は、スーパーと休日の昼間の自宅。店頭で商品を見つけた伊藤が「予約でいっぱいの店の……パスタソース……?」と気に留め、自宅で味わった瞬間に「え!?」と驚く。そうした自然なリアクションを通じて、「せっかくだったら、名店の味」というメッセージとともに、銀座の名店の味を家庭で楽しめる価値を描く構成とした。ラストは「そこに、スパイス&ハーブ エスビー」のサウンドロゴで締めくくる。

#

「予約でいっぱいのいかすみソース」

電通コピーライターの渡邉洋介氏によると、このコピーには2つの戦略的意図がある。1つは、落合シェフ監修という独自価値を明確に伝えること。パスタソース市場には「本格」や「本場仕込み」を掲げるブランドが多いが、それらがイメージ上の本格感にとどまるのに対し、「名店の味」という言葉には、実際の店の味に裏打ちされた差別化要素があるという。

もう1つは、日常の食卓に特別感を添える存在としてのポジショニングだ。家庭でつくる味とは異なるプロの味を、自宅で手軽に楽しめるという体験価値を訴求したかったという。「せっかくだったら」という言葉には、店頭でパスタソースを手に取る瞬間の「より良いものを選びたい」という生活者の自然な気持ちを重ねたとしている。

CMの舞台を「休日の昼間の自宅ランチ」に設定した狙いについて、電通CMプランナーの山田和正氏は、「ご褒美として少しだけ良いものを食べたい一方で、堅苦しくなく気軽に楽しみたい」という時間を描きたかったと語る。

伊藤の起用理由について、エスビー食品の広告担当者は、「親しみやすさ」や「等身大のリアルさ」を表現するうえで最適だったと説明する。スーパーや自宅といった日常的な舞台の中で、伊藤の自然体なリアクションによって、「名店の味を家庭で気負わず楽しめる」というブランド価値を直感的に伝えられると判断した。

監修を務める落合氏は、「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」のオーナーシェフであり、日本イタリア料理協会名誉会長でもある。本場イタリアで2年8カ月にわたる修業を積み、1981年に帰国。その後、日本で経験を重ね、東京・銀座に店を構えた。

advertimes_endmark

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事