2035年、働き手は約384万人減。日本の営業現場を襲う人手不足
今、日本のBtoB企業の多くが「営業の行き詰まり」を感じている。かつてのように、営業先に足繁く通い、良好な人間関係を築けば受注が取れる時代は終わりを告げようとしている。その最大の要因は、単なる景気の波ではなく、日本が直面している避けて通れない「構造的課題」にある。
2050年、日本の生産年齢人口は5540万人まで減少すると予測されている。これは現在から約3000万人もの働き手が市場から消えることを意味する。さらに深刻なのは、日本の労働生産性がG7諸国の中で長年最下位に甘んじているという事実だ。
1970年代半ばまでの高度経済成長期とその惰性が続いた時代には、従来型の営業モデルで成長を維持できたが、人手不足の中にあるビジネス環境では「小労力で高効率」な活動をしていかなければならない。DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI活用がそのための手段として重要であることは言うまでもない。
変革を阻む「ガラパゴス化したカルチャー」
もっとも、現状の日本企業がこの状況を変革しようとしても一筋縄ではいかない。過去にも法人営業のDXは幾度となく試みられてきたが、そのたびに営業とマーケティングの縦割り組織の壁に阻まれ、特に大企業では大きな成功事例がほとんど生まれてこなかったのが実情だ。
日本企業には、古くから根付く独自の商習慣がある。それが「GNP(義理・人情・プレゼント)営業」、すなわち個々の担当者による根強い対人関係に支えられたものだ。担当者と飲みに行き、ゴルフに興じ、季節の贈り物を欠かさない。こうしたウェットな関係性は、かつては強力な武器であった。しかし、デジタル化が加速し、購買プロセスの大半がオンラインで完結する現代において、この「GNP」頼りの営業へ固執することは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を阻む壁となりうる。
DXの本質とは、単にSFAやCRMを導入することではない。旧態依然とした「属人的なカルチャー」を、データに基づいた「科学的な組織」へと作り変えることにある。しかし、多くの現場では「営業は足で稼ぐもの」「関係性がすべて」という旧来の成功体験から脱却できず、非効率な活動を繰り返している。
