第1回は「管理職」がテーマ。一般社員の管理職就任意向の低下やなり手不足が叫ばれる一方、実際に管理職になった人たちはそのキャリアをどう捉えているのか――データが示す “ギャップ” に迫ります。
人事も管理職も感じている「管理職問題」
「管理職のなり手がいない」「管理職の負担が重すぎる」――昨今こうした声は、多くの企業の人事担当者や現場から聞こえてくるようになりました。では実態はどうなのでしょうか。リクルートマネジメントソリューションズが2025年に実施した「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査」で、管理職(中間管理職)について人事と管理職自身がどんな課題感を持っているかについて調べました。(図表1)
注目すべきは、人事担当者と管理職層で課題の「見え方」が異なる点です。「管理職候補の不足」については、人事担当者46.8%・管理職層46.6%とほぼ一致しており、なり手不足は双方が共通して認識している課題であることが分かります。
しかし、それ以外の項目では認識のズレが生じています。管理職層が最も高く選択した(49.2%)のは「管理職の仕事の増加や期待の高まりにより、負担が大きくなっている」であり、人事担当者(39.6%)を約10ポイント上回っています。人事担当者よりも、当事者としての管理職の方が日々の業務の重さを強く感じている様子が伺えます。
一方、人事担当者が管理職層より高く選択した項目は「管理職育成が十分に行えていない」(人事44.1%・管理職層36.4%)や「女性管理職比率を増やせていない」(人事38.7%・管理職層16.9%)です。人事と現場の間で、まず「今、何が問題なのか」を丁寧に擦り合わせることが必要かもしれません。
<図表1>管理職の課題に感じていること【人事担当者】【管理職層】
「管理職になりたくない」のはなぜか
管理職の負担が大きいという実態は、一般社員の管理職就任意向にも影を落としています。同社が2026年に実施した「管理職のあり方に関する実態調査」では、一般社員に「今後、管理職になりたいと思うか」を尋ねたところ、「なりたい」「どちらかといえばなりたい」と回答したのは全体のわずか18.1%にとどまりました(図表2)。「なりたくない」「どちらかといえばなりたくない」を合わせると66.9%と、6割以上が管理職昇進に否定的であることが明らかになりました。
<図表2>一般社員の管理職就任意向/上司満足度
自由記述から浮かび上がる「なりたくない理由」は、「責任・負担への懸念」と「現場志向」に大別されます。「中間管理職は部下からのハラスメントもありメンタル面でかなりしんどいと思うから」「仕事量や責任の割に給料が少ない。ワーク・ライフ・バランスが保てない」「現場で楽しく仕事をしたい/担当者が一番良い」といったコメントが象徴するように、管理職という役割に対してコストが高くリターンが見合わないと感じている層が多いことが分かります。
一方で、「なりたい理由」としては「若手を育てるのが会社への恩返しだと考えている」「部下を管理してチームを引っ張り会社に貢献したい」など、成長・貢献意欲を背景にした前向きな声も存在します。



