「目の付けどころが、シャープでしょ。」のDNAは死なず 経営危機から約10年、“シャープらしさ”を加速させる「デザイン先行型」の戦略とは

「目の付けどころが、シャープでしょ。」――1990年代から長く使われ、独創的な商品を生み出してきた大手家電メーカー、シャープを象徴する言葉だった。テレビや液晶で一世を風靡したが、2011年ごろからテレビ需要の減少や価格競争などで業績が悪化。2016年には台湾・鴻海精密工業の傘下に入った。その後、デザイン部門でも、まだ商品化されていない新しい製品のアイデアを経営陣に直接提案するような、挑戦的な活動が一時減っていったという。

しかし近年、風向きが変わり始めた。2024年には生え抜きの沖津雅浩氏が社長CEOに就任し、「シャープらしさ」を取り戻すことを掲げた。2025年12月には総合デザインセンターをブランド戦略本部に組み入れ、デザインと経営の距離を再び縮める動きも進んだ。2026年4月には、同じく生え抜きの河村哲治氏が社長CEOを引き継いでいる。

こうした流れの中、8月17日に始まったのが家電のデザイン展「シャープデザインのまなざし展」(東京・千代田)だ。若手デザイナーの提案を起点に、家電に込めた工夫や「情緒的価値」を改めて社外へ発信。かつて「目の付けどころ」で存在感を示したシャープは今、デザインから再び“らしさ”を打ち出そうとしている。

ロゴ SHARP

「目の付けどころ」は今もシャープのDNA

シャープの原点は家電ではない。1912年、創業者の早川徳次が東京で金属加工業を創業した。最初の商品はベルトのバックル「徳尾錠」。1915年には早川式繰出鉛筆を考案し、現在の「シャープ」という社名も、このシャープペンシルに由来する。

1923年の関東大震災では全工場を焼失したが、大阪で再起。1925年には国産第1号の鉱石ラジオ受信機を量産・販売し、電機メーカーとして歩み始めた。

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