バイセルが公式キャラ「バイセルくん」を導入 生成AI時代に“フィジカルな実体性”を掲げる理由

リユースサービス「バイセル」を展開するBuySell Technologiesは10月1日、公式キャラクター「バイセルくん」を発表し、新CMの放映を開始した。

同社はこれまで、お笑いコンビ・サンドウィッチマンを起用したCMで「安心して任せられる」ブランドイメージを構築してきた。なぜこのタイミングで、自社IPとなるキャラクターを導入したのか。同社 執行役員 マーケティング統括本部 統括本部長の田中奏真氏に、キャラクター開発の裏側と今後のブランド戦略について聞いた。

出張買取が抱える「2つの心理的ハードル」を和らげる

出張買取のサービスには、「見知らぬ人をプライベートな空間に招き入れる不安」と、「愛着のある品を手放す心理的な痛みやためらい」という2つの心理的ハードルがあるという。特に同社の主要顧客であるシニア世代にとって、生前整理などで手放す着物などは単なる中古品ではなく「人生の記憶」そのものである。同社はこうした葛藤に対し、一時的なキャンペーンで覆い隠すのではなく、時間をかけて根本から和らげ、長期的な信頼関係を結ぶ存在としてキャラクターの開発に至った。

また、生成AIの普及により魅力的なイラストが瞬時に作成できるようになった現在、単なるビジュアルの目新しさだけではブランドの差別化が難しくなっているという背景もある。

田中氏は「AIには代替できない『時間軸の蓄積』と『フィジカルな実体性』に価値を見出しました。時代が変わっても同じ姿と人格で登場し続け、形のあるモノとしてお客様のお宅まで伺える。この一貫性と手触りこそが、これからの時代に強固なブランドアセットになると考えています」と語る。

SUUMOを手掛けた横澤宏一郎氏を起用

キャラクター制作は、「SUUMO」などを手掛け、幅広い世代から愛されるキャラクターを生み出してきたクリエイティブ・ディレクターの横澤宏一郎氏に依頼した。一時的な話題性ではなく、事業の課題に根ざし、10年後も親しまれる存在を目指したという。

デザインにおいて重視されたのは、「親しみやすさ」と「信頼」のバランスだ。モチーフは、安心感を与える「平和のハト」の体に、大切なものを運ぶ「こうのとり」のクチバシを合わせた、独自の「渡し鳥」に設定されている。頭のシルクハットは真贋を見極める目利きとしての誇りと誠実さを表現しており、柔らかなフォルムの中に品格と知性を持たせている。

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