【はじめに全文公開】『AIを入れても、利益は動かない―ビジネスモデル変革「BMX」の戦略と実装』

「宣伝会議のこの本、どんな本」では、当社が刊行した書籍の内容と性格を感じていただけるよう、「はじめに」や識者による本の解説を掲載しています。今回は、10月27日に発売した新刊『AIを入れても、利益は動かない―ビジネスモデル変革「BMX」の戦略と実装』(羽間裕貴著)の「はじめに」の一部をご紹介します。

羽間裕貴 著
定価:2,200円(本体2,000円+税)
詳細・購入はこちらから

はじめに―「便利だが儲からないAI」を、今すぐ終わらせる

月曜日の朝、ある企業のAI導入担当者が溜息をつきながら画面を見つめている。全社に配布した生成AIの利用ログ。アクティブユーザーの推移は、鳴り物入りで導入した当初の期待とは裏腹に、驚くほど平坦なままだ。経営層は「AI活用は不可避だ」と号令をかけ、全社員向けの研修も実施した。プロンプトの叩き台も用意し、誰もが自由に試せる環境は整えたはずだった。それでも、現場の反応は鈍い。

使われたとしても、一回きりの「メールの下書き」や「議事録の要約」といった、単発の率化で止まる。業務プロセスそのものに組み込まれ、自社の強みを劇的に引き上げている実感がまるでない。何より、この投資が「営業利益の向上」や「競争優位の確立」にどう結びついているのか、誰も説明ができないのである。

私は、こうした光景をこれまで何度も、様々な企業の現場で目にしてきた。そして、そのたびに一つの問いを反芻する。「どうしてAI活用は、いつまで経っても会社の『稼ぐ力』に直結しないのか?」。

もちろん、AIによって便利になったことは数多くある。資料の叩き台は速く作れるようになり、社内検索の手間も減った。現場からは「少し楽になった」という声も聞こえてくる。しかし、あえて厳しい言い方をしたい。営業利益は本当に増えただろうか。他社が真似できない独自の強みは築けただろうか。もし、答えが「NO」であるならば、あなたの会社のAI活用は「稼ぐ構造」への接続が欠けている可能性が高い。

私は長年、電通グループのイグニション・ポイント株式会社(IGP)で、企業変革の現場に伴走してきた。企業の新規事業創出やビジネスモデル変革に携わる中で、AI活用プロジェクトで成果がきちんと出た現場をいくつも経験し、実際に組織が前進する瞬間にも立ち会ってきた。

だからこそ、同時に見えてしまった限界もある。AIを入れること自体が目的になり、導入後に少し便利になったところで満足してしまう企業も少なくないのだ。結果として、会社の「稼ぎ方」は何も変わらない。その点に、違和感を抱いている方も多いはずだ。

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宣伝会議 書籍編集部

宣伝会議書籍編集部では、広告・マーケティング・クリエイティブ分野に特化した専門書籍の企画・編集を担当。業界の第一線で活躍する実務家や研究者と連携し、実践的かつ最先端の知見を読者に届けています。

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