アドタイでは今回、審査員を務めるクリエイターの皆さんから応募のアドバイスを一問一答でいただき、順次紹介しています。短い、シンプルな内容ではありますが、その言葉の節々にコピーを生み出すヒントが詰まっています。
宣伝会議賞の入賞、そしてコピーライターとしてのキャリアアップを目指す皆さんに向けたメッセージもいただきました。ぜひお役立てください。
本日は、電通の篠原 誠さんへのインタビューを紹介します。
宣伝会議賞への応募経験もお持ちの篠原さん。当時味わった、悔しい思いも明かしていただきました。最近の仕事としては、家庭教師のトライのテレビCM「教えてトライさん」シリーズが挙げられます。アニメ『アルプスの少女ハイジ』の世界に教育のプロ「トライさん」が紛れ込んだコミカルなCMが印象に残っている人も多いのではないでしょうか。
テレビCM「教えてトライさん」は、こちらでも見られます。
——コピーが浮かぶのは、どんな瞬間でしょうか?
篠原さん 企画をするのは喫茶店など電話が鳴らないスペースが多いのですが、コピーを書くのは、実は会社のデスクが一番多いです。見せかけだけのヘッドホンをして。
——書くと決めたら、一心不乱に書く。そのための環境を、自分でつくることが大切と言えそうです。コピーを考えるときの、マストアイテムと言えば何でしょうか?
篠原さん 紙、ペン、飲み物です。
——篠原さんは、宣伝会議賞への応募経験もお持ちですね。当時のエピソードを聞かせてください。
篠原さん アホほど、書いて、アホほど、出して、一つもひっかからなかった。宣伝会議賞の方を心の中で責めました。
——そうして真剣に取り組んだ経験が、今につながっているのですね。最後に、篠原さんにとって、コピーライターとはどんな仕事でしょうか?
篠原さん 17年、この仕事をしてきましたが、いつまでたってもコピーがうまくなっている気がしない。毎回毎回、必死で考えて苦しんで楽しんで生み出している。てっきり、うまくなったら、簡単にコピーがでてくるものだと思っていました。
・・・出てこない。みんな格闘して生み出している。だから面白いのだと思います。言葉は、共有しやすい。そういう意味で、自分が生み出したコピーが世界を動かす可能性だってある。ドキドキする仕事です。
——広告界の第一線で活躍しているコピーライターも、常に“生みの苦しみ”を感じているのですね。それだけに、コピーが広告として世の中に出たときの喜びもひとしおなのではないでしょうか。
次回は、ダイコクのサトー克也さんへのインタビューを紹介します。自分が書いたコピーが人々の心を動かせるか、見極める方法も教えていただきました。お楽しみに。
篠原 誠(電通/コピーライター、CMプランナー)
1972年生まれ。最近の仕事に、パイロット、アクエリアス、家庭教師のトライ、NTT東日本、森永製菓、キヤノンなど。カンヌ国際広告祭ブロンズ、アドフェストゴールド、ACCゴールド、ADC賞など受賞。
【宣伝会議賞1分アドバイス バックナンバー】
- 岡田直也さん「コピーライターは、日本語のプロフェッショナルであるべき」
- 下東史明さん「コピーが浮かぶのは、サウナで汗を見つめる瞬間」
- 國武秀典さん「細かい部分にこだわりすぎず、潔く、新しい視点を発見する」
- 左俊幸さん「今は、コピーの『型』にとらわれず、好きに書くしかない」
- 笠原千昌さん「最高の1本にたどり着く努力を怠らない!」
- 森田直樹さん「コピーライターは“言葉守”になるべき」
- 赤城廣治さん「今の時代に求められるコピーライターとは、独自の『いいね!』を押せる人」
- 中村猪佐武さん「良いコピーを生むのは、ADやプランナーとの『あーでもないこーでもない』」
日本最大規模の公募広告賞「宣伝会議賞」は第50回を迎えます。1963年にスタート以来、広告界で活躍する一流のコピーライターのほか、糸井重里さん、林真理子さんといった著名な書き手を輩出してきました。50回目となる今回は50社の協賛企業から課題が出されており、第一線で活躍する100人のクリエイターが応募作品を審査します。課題は9月1日発売『宣伝会議』本誌にて発表、2012年10月31日が締め切りとなります。
「since 1963 コピーライターの登竜門!第50回 宣伝会議賞 特設コンテンツ」バックナンバー
- 【宣伝会議賞チャレンジ宣言(4)波乱の2月編】「5日前まで『宣伝会議』に目を通さず」呉 文恵さん(24歳)(2013/2/14)
- 【宣伝会議賞チャレンジ宣言(4)波乱の2月編】「1次審査通過でちょっとだけ生まれた自信」佐久間仁美さん(25歳)(2013/2/14)
- 【宣伝会議賞チャレンジ宣言(4)波乱の2月編】「誌面に載った自分の名前に興奮」高倉宏侑さん(21歳)(2013/2/14)
- 【宣伝会議賞チャレンジ宣言(4)波乱の2月編】「こんなに緊張する2月は久しぶりだった」藤田雅和さん(38歳)(2013/2/14)
- 【宣伝会議賞チャレンジ宣言(4)波乱の2月編】「前回の倍の本数を出したのに、一次通過数は半減してしまった…」赤星薫さん(32歳)(2013/2/13)
- 【宣伝会議賞チャレンジ宣言(4)波乱の2月編】「待ち遠しかったけど見たくない」中島彰則さん(33歳)(2013/2/13)
- 【宣伝会議賞チャレンジ宣言(4)波乱の2月編】「“選ばれる”ことに飢えていたので、素直に嬉しい結果でした」郡司淳さん(27歳)(2013/2/12)
- 【宣伝会議賞チャレンジ宣言(4)波乱の2月編】「結果発表前は、期待と不安が交互に押し寄せてきた」森本祥司さん(28歳)(2013/2/12)
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