「美味しいのに、売れなさすぎて崖っぷち」を謳いながら、数々のプロモーションを繰り出してきた森永製菓のアーモンド菓子「JACK」が、鳥取県の「すなば珈琲」とコラボレーションを行っている。東京新宿区内に12月17日から4日間限定の「すなば珈琲」を開設、店頭で「崖からの大脱出キャンペーン」を開催する。
森永製菓が「美味しいのに崖っぷち」キャンペーンを開始したのは、今年11月10日。JACKは2014年5月に発売し、2度の棚落ちを経験したお菓子。「次に売れなかったら終売」という条件付きで、2度目のリニューアルに臨むタイミングで実施した。
キャンペーンの内容は、回答者が2人しかいない「少人数調査」や、子猫がかわいいだけの「やけくそ動画」、商品の「負の歴史」が掲載されたテキストサイト風特設サイトなど。
キャンペーンを担当したのは、ひらかたパーク「ひらパー兄さん」などの仕事で知られる博報堂 クリエイティブディレクターの河西智彦さん。「ここで売れなければいよいよ終売と聞いて、その崖っぷちの状況をそのまま伝えることが、見た人の興味をひき、商品への応援にも最もつながるのではないかと考えました」と話す。
そして「崖っぷちに追い込まれた人が次にする行動は何か?」と考えた結果、「やけくそ動画」や「やけくそポスター」などの一連の「やけくそ」施策が生まれたという。森永製菓のような大きなメーカーが、こういった意外性のあるキャンペーンを決断してくれた事実も、その“本気感”を裏打ちしてくれた。
Web上の展開だけではない。話題を生むためのリアル施策として、“日本初4D トレイン広告”と謳い、11月18日から1週間、鹿島臨海鉄道で広告ジャックも実施。車内ポスターを設置した車両内にディフューザーを設置し、キャラメルフレーバーが車内に香る列車を運行した。
こうしたキャンペーンの結果、売上は上昇、当座の崖っぷちは回避した形だ。お客様相談室にも連日問い合わせが寄せられているという。
そして、次なる展開として実現したのが、冒頭の「すなば珈琲」とのコラボである。「すなば珈琲」は、同県の平井伸治知事が「鳥取にはスタバ(スターバックス)はないが、日本一のスナバ(砂場)はある」と発言したことをきっかけに生まれたコーヒーショップだ。2014年4月にオープン、同県内に3店舗を展開している。今年5月にスターバックスが鳥取市に初出店した際は「大ピンチキャンペーン」を行い、「某コーヒーショップのレシート持参でブレンドコーヒー半額!」などのキャンペーンを打ち出し、話題になった。
今回の東京店の「崖からの大脱出キャンペーン」では、「アメリカ系コーヒーショップのレシートを持参するとJACKとブレンドコーヒーのセットが半額」などの特典を実施するほか、限定商品としてJACKをまぶしたアーモンドキャラメルカプチーノ「崖っぷちーノ」も提供する。
「崖っぷち」の境遇を一足先に経験した「すなば珈琲」と、異色の共同PR戦線。まだ予断を許さないJACKの救世主なるか。
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