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コラム

電通デザイントーク中継シリーズ

「WIRED」創刊編集長ケヴィン・ケリー「バーチャル・リアリティで、未来の人間は何を得るのか?」

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【前回】「ケヴィン・ケリー「未来を決める12の法則」【前編】」はこちら

米国『WIRED』誌の創刊編集長であり、テクノロジー界の思想を牽引するケヴィン・ケリー氏の新刊『〈インターネット〉の次に来るもの~未来を決める12の法則』の翻訳版が7月下旬、日本で発売された。電通デザイントークでは、その出版記念講演として、ケリー氏から30年先の未来に起こる重大な変化の中から三つのトレンドを解説してもらった。今回は、その後編をお届けする。

インタラクションの鍵はVRにある

30年先の未来を予測するための、二つ目のトレンドは「INTERACITING」(インタラクティング・相互作用する)です。

未来は、さまざまなモノにインタラクションが期待されるようになります。そして、インタラクティブであればあるほどパワフルであり、インタラクションできないものはまるで壊れているかのように扱われていくでしょう。

私はスティーブン・スピルバーグ氏が監督した映画『マイノリティ・リポート』の中で描かれた未来のコンピューティングを考案する手伝いをしました。映画の中で主人公は、指だけではなく体全体を使い、まるでダンスをしているかのように、さまざまなデバイスとインタラクションします。

この映画からも分かるように、インタラクションにおいて重要なテクノロジーは「バーチャルリアリティー」(VR)です。VRはもともとジャロン・ラニアーによって1980年代初頭に開発されましたが、その装置を開発するために多額の費用が掛かったため、長く普及しませんでした。そこに、スマートフォンが到来したのです。スマートフォンに搭載されている加速度センサーやスクリーン、ビデオプロセッサーといったテクノロジーはVRに使うことができます。

VRは、いくつかの種類に分けることができます。「没入型のVR」であれば、ゴーグルを着けることで、あたかも自分が別の場所にいるように感じることができます。例えば、部屋の中でゴーグルを着けると、初めはVRの世界でも同じ部屋にいるのですが、突然床がなくなり、崖の上に自分が立っているといった演出ができます。自分の脳のある部分は部屋の中にいると知覚しているため崖から落ちることはないと分かっていても、恐怖心から体は震え始めます。

「ミックス・リアリティー」(複合現実/MR)であれば、ゴーグルなどをかけることで、現実の世界の中に、バーチャルなモノを重ねて見えるようにできます。これは二つの世界を混ぜることで、バーチャルなモノをまるで本物のように感じさせる効果があります。

日本でも「ポケモンGO」がローンチされたと聞きました。すでに楽しんでいる人は、MRのパワーを感じていただけたかと思います。ゴーグルを使わずに携帯電話だけですが、それでも物理的な世界とデジタルな世界を結び付けることができたわけです。ちなみに私は皆さんより1週間先に始めていたわけですけど、まだレベル5です(笑)。

次ページ 「VRによって人間は何を得るのか?」へ続く