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コラム

電通デザイントーク中継シリーズ

「WIRED」創刊編集長ケヴィン・ケリー「バーチャル・リアリティで、未来の人間は何を得るのか?」

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何かを始めるのに、今ほどいいタイミングはない

最後に、未来全般についてお話ししたいと思います。

未来について予測すると、「そんなことは起きるわけがない」と信じられないこともあるかもしれません。

もしタイムマインを使って30年前に戻ることができ、当時の人たちに未来について説明したとします。未来では、世界中の全ての街の地図にアクセスでき、リアルタイムに株価がチェックでき、Wikipediaでさまざまな情報を調べられるということを説明しても、なかなか信じてもらえないかもしれません。さらには、そのような情報が無償で提供されているとすれば、誰も信じないでしょう。

私が30年以上にわたって、インターネットに関わってきて学んだことは、“起こり得ないと思ったことも信じるべきだ”ということです。

コンピューターが小型化されることは30年前にも分かっていました。ただ、それが本当に小型化されて、靴や椅子、あるいはドアノブなど、あらゆるモノに搭載されるようになると予測したら、誰もがクレージーだと言ったのです。「なぜドアノブにコンピューターを入れる必要があるのか、意味がないじゃないか」と。

ところが、今ホテルに行ってみてください。コンピューターが搭載されたドアはいくらでもあり、それによって部屋のセキュリティーが守られています。つまり、今は不可能だと思うことも、柔軟性を持って信じなければいけないのです。

そこで、強調したいのは“今ほど新しいモノをつくるために適したタイミングはない”ということです。それは歴史的に見ても分かります。なぜなら、さまざまなモノをつくるためのツールが安くなり、入手しやすくなっているのです。

AIの世界はまだ始まりにすぎないため、何かにAIを付けるだけでいいのです。まだ、その世界の専門家は少なく、ここにいる誰もがAIやVRのエキスパートになれるのです。

2036年から振り返れば、2016年に生きていたらどんなに良かったかと思うことでしょう。さまざまなチャンスがあり、簡単に実現できるのにまだ存在していないモノがたくさんあるからです。

未来で“支配的な存在となるプロダクト”は、まだ発明さえされていません。この会場の中のどなたかが発明しなければならないのです。重要なのは、決して皆さんの誰もが、後れを取っているわけではないということです。何かを始めるために、遅過ぎるということはないのです。

ご清聴ありがとうございました。

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