今僕は会社の中で、こうした広告の仕事と個人でのプロジェクトの良いところを融合させようといろいろ試行錯誤しています。Wieden+Kannedy(ワイデン+ケネディ)New Yorkに移ったのは、そういった新しい仕事のプロセスを支援すると言ってくれたからです。現に今、レコードレーベルを数社呼んできて、いくつかのアーティストのためのプロジェクトを社内に立ち上げさせてもらいました。それらは普段のエージェンシーのプロセスから離れて、少数精鋭で必要なスキルを持った人だけ集まって、かなりフットワーク軽く活動できています。
この「少数でフットワークが軽い」というのが実はすごく重要。今回のSOURも、アイデアの大きさに比べて極めて少数で制作しています。サイトのクレジットをご覧になってみてください。こういう少人数チームは意思の疎通がしやすく、スタッフ一人一人の責任感をちゃんと醸成することができ、不必要なアプルーバル(承認)の待ち時間がない(この辺りは次回もう少し詳しくお話しできたらと)。
今回僕は清水幹太さん(イメージソース)と一番密にコミュニケーションをとりながら作業をしていたのですが、彼のようにクリエーティブのアイデアが判りつつ、天才的なコーディングスキルをもったテクニカルディレクターと仕事をするのはとても素晴らしい体験でした。またいずれ詳しく話せたらと思いますが、技術が判るクリエーティブディレクターとアイデアが判るテクニカルディレクターのタッグこそが、未来の制作チームのスタイルなんじゃないかなと強く感じています。
会社という組織を維持するにはルールも必要ですが、自らがそれに縛られることなく本当にクリエーティブを進歩させるようなことをする機会をもっと創出していかないといけないと感じます。 クリエーティブエージェンシーを標榜するのであれば、やっぱり面白い作品をつくって証明していかないといけないから。それには新しいプロセスを試すことも大事だし、クライアントにちゃんと信頼してもらえる関係性をアイデアを通じて築いていくことだったりもする。SOURをあえてクライアントと呼ぶならば、彼らと築けたような信頼関係を他の多くのクライアントとも作れたらどんなに素晴らしいだろうと感じます。
そして逆にエージェンシーに在籍するクリエーティブたちには、会社が機会を作ってくれるのをただ待つのではなく、どんどん自主的に面白いものを作っていかないといけない。自分の経験を振り返ってみても、待っていてはチャンスなんてほとんどやってこなかったように思います。だからドンドン自分個人のプロジェクトを実現させていって欲しい(もちろん会社の仕事もちゃんとやりながら!)。
えーと、何が言いたかったのかちょっと判らなくなってきてしまいましたが、要は僕も会社でも個人でも頑張るので、みんなもいっしょに頑張っていいものを作っていきましょう! それは海外だろうが日本だろうが、関係なく今すぐ実現できることなので。次回は今度こそもう少し具体的に海外エージェンシーの内情や仕事のプロセスなどをお伝えできればと思っています。
ではでは。
川村真司「世界のクリエーティブ」バックナンバー
新着CM
-
広告にあふれる「家族」。そして「かぞく」。(太田恵美)コピー年鑑2023より
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
クリエイティブ
ファンケルが30歳前後向けシリーズ発売、杉咲花がCMで「一人十色」表現
-
販売促進
「本気になると、人は白目になる。」 『花とゆめ』創刊 50周年 少女まんがのコピ...
-
クリエイティブ
コピーライターとしての現在地を教えてくれる「地図」―『広告コピーってこう書くんだ...
-
AD
マーケティング
顧客を見定め、効果的にEC・エリアマーケティングを構築
-
販売促進
伊藤園、「お~いお茶」の博物館オープン 35年の歴史とこだわりを公開
-
クリエイティブ
若い人ほどACC年鑑を買うべき理由――2023ACC賞審査委員長が語る
-
特集
はじめに/あとがき/解説でざっくりわかる 宣伝会議のこの本、どんな本?