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『団塊世代が65歳を迎える2012年、シニア層が求める売り場とは』販促会議2011年8月号より

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広告や販促活動において、ターゲットを年齢で分けることがある。しかし、今回の特集で主な対象とする65歳前後の人たちは、気持ちが若いこともあり、「シニア」と呼ばれたり、年齢でまとめられることを特に嫌がる。

ただ、少なからず年齢による“衰え”を自覚しつつあるのも事実だ。では、こうした状況において、シニア層の買い回りを促進し、購入率をアップするにはどうすればよいのだろうか。

シニア層は多様性に富んだデリケートな市場

日本は、高齢化社会と言われて久しく、2030年には人口の半数以上が50歳以上になると予測されている。また、現在でも保有資産が最も高い年代は60代以上となっている。

そのため、日本の消費の中心層は、今後もこの層の人たちであり続けるだろう。だからこそ、こうしたマーケットの変化に対応することが、より売り上げを伸ばすことにつながり、そのための施策が求められてきている。

では、そもそも“シニア”とは何歳からなのか。一般的には60歳以上と言われることが多いが、その定義はまちまちだ。さらに、実際65歳前後の人たちの“気持ち”は非常に若い。そのため、シニア向けと訴求してもピンと来ない人が非常に多いばかりか、逆に「年寄り扱いされたくない」と拒絶されてしまうこともある。

しかし、視力や記憶力の低下など、身体的な面においては年齢が上がるにつれて衰えてくる。そんなデリケートなシニア層に向けた売り場やツールづくりにおいて、「買いやすい」「安心する」などと支持されるところはどのような施策をしているのだろうか。

店舗と“近い”ことが安心感と信頼感を与える

売り上げ回復のきっかけづくりとして、改装やリニューアルを図る店舗や商品は多い。しかしそれは、上手に実施しないと、逆効果になってしまう可能性がある。

京王百貨店新宿店は15年以上、60 ~ 70代の人を意識した婦人服フロアにおいて、カットソーやブラウスといったカテゴリの位置を大幅には変えていない。「だいたいあの場所に行けば、目当ての商品がある」と、来店者に認識してもらうことが狙いだ。このことは「あの店舗には私が欲しいものが置いている」という信頼にもつながりやすい。

長年、大幅には売り場を 変更しないことで、何がどこに置かれているか来店者に覚えてもらう

つまり“変えない”ということが、シニア層と店舗の距離を縮め、再来店しやすくしているのではないか。この店舗と顧客の距離を、「ツール」で縮めているところもある。NTTドコモが、東京・丸の内と大阪・梅田で展開するユニバーサルデザイン店舗「NTTドコモ・ハーティプラザ」だ。
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