コラム

ソーシャルメディア時代のチェンジマネジメント

ソーシャルシフト:ステップ3 すべての顧客接点を改善する

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ブランドの顧客接点を調査する

ブランドステートメントとコアバリューを策定するのと同時並行的に、顧客接点と担当部門を洗い出す業務を行う。

fig82

図のように、企業のバリューチェーン活動における顧客接点は、(1)購買前体験 (2)購買体験 (3)購買後体験、そしてそれを取り巻くようにして、対話プラットフォームとしてのソーシャルメディアが存在する。実際には、顧客以外との接点、たとえば社員であれば社内報、株主であればIR関連、求職者であれば人材募集関連、業務パートナーであれば購買や物流、総務など顧客以外のタッチポイントも数多く存在するが、当章においては対象を顧客接点に絞ってすすめていく。ここでは、漏れなく洗い出すために、典型的な顧客接点をいくつかあげておこう。

  1. 購買前体験
    印刷媒体、テレビCM、クーポン、ウェブサイト、ダイレクトメール、メールマガジン、イベントや展示会、メディア掲載記事、自社ブログやコミュニティなど
  2. 購買体験
    店舗ディスプレイ、店頭広告、コマースサイト、販売員
  3. 購買後体験
    製品サービスの品質、ロイヤリティプログラム、顧客サービスの案内ページ、顧客サービス担当員、ユーザー講習会、請求書、顧客サーベイ、コミュニティ活動
  4. ソーシャルメディア
    ソーシャルネットワーク、ブログ、クチコミサイト、Q&Aサイト、掲示板

図で顧客接点を円として描いているのは、顧客とブランドの関係は一回の購買で終わるわけではなく、終りのない旅として捉えるべきものだからだ。一般的には、このサイクルを回れば回るほど、それによってブランドの価値と約束が顧客に理解されるほど、そのブランドと顧客との信頼のキズナは深まり、ロイヤリティループが形成されていくことになる。

各顧客接点と担当部門の洗い出しが完了したら、それぞれの部門に協力を仰ぎ、顧客体験とブランドステートメントとの整合性がとれているかどうかを顧客リサーチする。注意したいのは対象を既存顧客にだけ絞らず、潜在顧客、さらには逸失顧客にまで対象を広げること。特に逸失顧客へのヒアリングでは、ダメージを及ぼした顧客接点を特定し、その原因についての洞察も得ることができる。

可能であればさらに下記の情報を調査しておきたい。

顧客の顕在化したニーズ、潜在的な期待は何か?
顧客が重要視している顧客接点は何か?
顧客接点ごとの満足度はどうか?
重要な顧客接点につき、顧客の期待や競合との比較はどうか?

既存顧客調査においては、1回のみ購入した顧客と、継続的に購入している顧客を分け、それぞれの理由をヒアリングするとさらに深い見識が得られるだろう。なお、調査方法や調査対象の構成は、商品かサービスか、生活者向けか企業向けかなどによって大きく異なる。また正確なリサーチには高い専門性を必要とするため、社内に知見がなければ外部調査会社に協力を依頼するのも一案だ。

最後に、得られた調査結果をシンプルな表にサマリーし、課題点と優先度が一目でわかるようなレポートを作成する。キーとなるのは、縦軸をさまざまな「顧客接点」、横軸を「担当部門」、横軸に「顧客にとっての重要度」「顧客の満足度」「競合他社の満足度」「優先度」とする。そのようなマトリクス表をベースに、段階的かつ継続的に顧客接点でブランドステートメントに基づく顧客体験を実現できるよう、統合的なアクションプランを作成する。ソーシャルシフトのための最初の羅針盤となるものだ。このプランは全体の業務効率に大きく影響を与えるため、各部門の経営資源や業務目標とも綿密にすりあわせ、経営トップの承認を得るようにしたい。

全ての顧客接点で、統一されたブランド体験ができるよう継続的に改善を行う

承認されたアクションプランに基づき、対象となった顧客接点において順次改善を図っていく。各部門とブランドステートメントをしっかり共有し、それに準じた顧客体験を提供できるよう、目標を共同で作成するのが良いだろう。ただし、具体的な改善項目やそのプロセスについては、各部門の自主性を尊重し、ソーシャルシフト推進室はそれを支援するカタチをとるのが望ましい。また、各部門の改善業務担当者をつなぐオンラインやオフラインでの交流を促進するとともに、定期的に進捗会議を開催し、PDCAサイクルに基づき継続的に改善を行うことが重要だ。

なお、この節の内容は、スコット.M.デイビス氏/マイケル・ダン氏による著書『ブランド価値を高めるコンタクトポイント戦略』を参考にして、社員主導でも調査できるようにシンプル化したものだ。調査実施にあたってより深く学びたい場合には、この書籍を参考にすることをおすすめしたい。

斉藤 徹「ソーシャルメディア時代のチェンジマネジメント」バックナンバー

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