アサツー ディ・ケイ(ADK)は28日、中国・アジア地域への展開強化を目指す広告主向けに、各国の市場展望や現地の最新状況を伝えるセミナーを都内で開催した。同社が最近実施したアジア地域の生活者調査など最新の市場動向を伝えることで、中国・アジア領域へのADKの強みをアピールするとともに、同市場に関心を持つ企業への支援拡大を図る狙い。同社のクライアントを中心に約500人が来場した。アジアから来日している留学生も招待した。
「アジアにおける新しい中間層の台頭」と題したプレゼンテーションでは、中国、タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ベトナムの生活者を対象に実施した定量・定性調査のポイントを、同社価値創造プランニング本部の夏目則子氏が紹介した。アジア各国の経済成長は続くものの、年間所得3万5000ドル以上の「富裕層」はさほど増えないと指摘。一方、年間所得5000ドル~3万5000ドルの中間層が今後大幅に拡大する見通しで「中間層にこそ大きなビジネスチャンスがある」と強調した。
もっとも、欧米の資本力のあるメガブランドはすでに市場参入しており、「日本ブランドの存在感が全般的に希薄」と中間層を狙うことの難しさについても触れ、地域ごとの市場特性をつかんだ上でブランド確立を目指すことの重要性を指摘した。
別のセッションでは、ADKのインド、インドネシア、タイ、ベトナムの各法人に務める現地人プランナーが登壇。それぞれ現地市場の特性を伝え、後発企業が市場攻略するためのブランド構築の方法について各パネリストの見方を披露した。ベトナムではスタイリッシュなイメージの「SUSHI BAR(寿司バー)」が人気であることや、インドではピザチェーンとして後発ながら、外食需要をつかんで成功したピザハットの事例などを紹介した。
市場調査では宗教などからくる倫理観から回答が「建て前」に終始し本質を見誤る可能性があるとし、特にアジアでその傾向が顕著だという。例えば「美」に対する考え方を各国の女性に聞いたところ、インドでは「中身を磨くことが重要」との回答が多いというが実際は美白への関心が高かったり、タイでは「自然な美」を重視するとの回答の一方で、美容整形へ関心を持つ女性が7割近くに達するという。「文化的束縛との裏にある、人の本能的欲求も理解しなければならない」(アジアリージョナルオフィスの中田陽仁氏)と述べた。
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