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「オンエアが危ぶまれる事態もあった」-雪国まいたけ、放射性物質検査のCMで売上回復

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※本記事は3月15日発売『宣伝会議』の特集「食品・風評・自分の将来~心配を安心に変えるプロモーション」から抜粋したものです。

テレビ中心に全方位型広告、放映翌月の売上は前年比116.2%に

2012年1月末から2月中旬にかけて、朝日・読売(各関東首都圏版)および各地方紙で展開した広告。下段には、雪国まいたけの商品を扱う流通企業名が掲載されている。

「雪国まいたけは、商品の農薬検査や重金属検査に加えて、放射性物質検査もはじめました」―。雪国まいたけ(新潟・南魚沼)では2011年9月15日から、商品の安全・安心を訴求する企業CMを全国で放映している。同時にCM専用サイトや公式ツイッターアカウントも開設した。

同社マーケティング部の對馬(つしま)秀夫氏は「5月からCMによる情報発信の検討を進めてきたが、テレビ局からも視聴者への影響を懸念する声があがり、CMのオンエアが危ぶまれた時期もあった」と打ち明ける。最終的には、局側に検査体制や検査結果の開示方法などの説明を重ねるとともに、表現上の制約なども考慮。6年ぶりに同社CMに出演する郷ひろみがシンプルに、冒頭のメッセージを伝える演出に落ち着いた。

「3月の震災直後、露地栽培のキノコや天然キノコから国の暫定規制値を上回る放射性物質が検出された旨の報道が相次ぎ、それによる風評被害の影響が少なからずあった」といい、すべて工場内で栽培している同製品も影響を受けた。4月には出荷量が前年比80%台に大きく落ち込んだが、CM放映後の10月には前年比116.2%まで回復している。

同社では15年前に社内に農薬検査、重金属検査、各種衛生検査を行う専門部署を設置。2009年から「雪国まいたけ安全システム」として、購入者が製品の製造番号をパソコンや携帯電話の専用サイトで入力すると、検査結果を確認できる仕組みを導入している。今回のCM放映は、このシステムに放射性セシウムや放射性ヨウ素などの検査結果を追加したタイミングと合わせて展開された。

CMの他にも、店頭ではCMのクリエイティブと連動したポスターやトップボード、CM映像を流す電子POPの設置など、広告のメッセージを想起させる施策も連動させた。また2012年1月末から2月中旬にかけては、全国紙や地方紙に雪国まいたけの商品を扱う流通企業の名称を記載した全面広告を展開するなど(写真)、全方位的に「安全・安心」を届ける企業としての情報発信を進めている。