国連WFPはこの7月から、世界およそ70カ国で展開する「学校給食プログラム」の新広告キャンペーンを開始した。キャッチフレーズは「赤いカップの給食から、子どもたちの未来がひろがります」。ACジャパンの支援キャンペーンのひとつとして、来年6月末までの1年間、テレビや新聞、雑誌、ラジオ、交通機関などで目にすることができる。この広告に登場するWFPオフィシャルサポーターでモデルの知花くららさんに、国連WFPの活動や学校給食プログラムに対する思いを聞いた。
――CMの撮影でタンザニアに行かれたそうですね。いかがでしたか。
今回は、アルーシャ県にあるマサイ族の子どもたちが通う小学校を訪問しました。この地域では3年連続で干ばつが発生し、食糧・水不足で人びとは苦しんでいます。実際、子どもたちは、初めはシャイでしたが、慣れてくるとどんどん距離感が縮まり、楽しく撮影しました。
――国連WFPが提供する給食は食べてみましたか。
はい。私がいただいたのは、赤いカップに入った水煮豆の給食です。素朴な味でした。赤いカップの中で、スプーンがカチカチ鳴る音が聞こえるほど、黙々と食べていました。タンザニアでは、朝食時にとうもろこしと大豆の粉でつくったおかゆと昼食時に豆の水煮などの給食が支給されています。30円で子どもたちに1日分の給食が支援できるそうです。
――知花さんが登場する新広告がスタートしました。この広告を見た人に、一番受け取ってほしいメッセージは何ですか。
貧困に苦しむ子どもにとっては、学ぶことで広がる未来があります。学ぶ機会がないという環境を自分で選んだ人はいません。子どもたちは文字に触れるだけ、友だちと学ぶだけで楽しいのです。国連WFPの給食は栄養たっぷり。食べられるから、学校に行きたくなる。給食があると、子どもたちは楽しく勉強し、未来が広がるということが伝われば嬉しいです。
世界人口70億人のうち、9億2500万人が十分な栄養を得られず飢餓に苦しんでいるといわれている。そのうち空腹状態で学校に通う子どもは世界で6,600万人にのぼると推計されており、国連WFPは2015年までに、空腹状態で学校へ通う世界のすべての子どもへの給食の配給を目指している。
世界には、7,200万人の学校に通っていない学齢期の子どもたちがいる。貧しい家庭では、子どもも重要な労働力であるため、学校に通わせることができないためだ。国連WFPの学校給食プログラムでは、そうした貧しい家庭が子どもを毎日学校へ通わせるきっかけとなるように働きかけている。
アフリカなどの途上国では、30円あれば、1日分の給食が提供できる。また、おかゆなどの給食に加え、家庭に持ち帰る食糧1カ月分を提供することができる(女子生徒や遺児など、特に弱い立場に置かれている子どもたちとその家族へは、学校給食と持ち帰り食糧を提供)。5000円で1人の子どもの1年分の給食を提供することができる。
国連WFPでは世界のおよそ60カ国、2,000万人以上の子どもたちに給食を届けている。可能な限り、食糧の現地調達や、地産地消を推進し、地域の小規模農家の支援にも努めているという。
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