コラム

広告の未来の話をしよう。COMMUNICATION SHIFT

石川淳哉さんに聞く(前編)「ラブとパワー。」

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dreamdesign石川淳哉さんとの出会いは、2011年震災後、復興支援での活動がきっかけでした。

石川さんとふたりで、被災地の情報をリアルタイムで伝える現地部隊が必要だと意気投合し、それがきっかけとなり、2011年9月、「助けあいジャパン情報レンジャー」をいっしょに立ち上げたのです。

……と、これが僕が知る石川さんなのですが、石川さんにはもうひとつ(というかこっちがむしろ表の顔なのかな)、dreamdesignのCEO、広告業界を代表するプロデューサーとしての顔もあります。

その両方が、石川さんの中で、どうつながっているのか。
愛とお金について。資本主義について。プロデュースについて。

広告の未来を探し求め、旅をするように続けてきたCOMMUNICATION SHIFT。そのひとつの答えがおぼろげに見えてきた、そんな対談になりました。

広告の未来の話をしよう。COMMUNICATION SHIFT

今週は、dreamdesign石川淳哉さんです。

石川淳哉 プロフィール
1962年大分県生まれ。株式会社ドリームデザインCEO、株式会社イナズマCEO、公益社団法人助けあいジャパン創始者副会長。プロデューサー。主な仕事に、書籍「世界がもし100人の村だったら」、イベント「FIFA WORLDCUP PUBLICVIEWING IN TOKYO」、ピースアートプロジェクト「retired weapons」、311復興情報配信プロジェクト「助けあいジャパン」など。「大学コンソーシアム京都(京都50 大学が参加)」や宣伝会議での講師もつとめる。

勇気を持ったクリエイティブとデザインが、どう社会を変えていくのか、に興味がある

ishikawa

並河:今日はよろしくお願いいたします。石川さんの活動は、もはや広告という範疇には収まらないと思うのですが、でも、大きい意味でのプロデュースではあると思うんです。

広告というものの外側でなにかを形作ろうとしている。そもそも、そういう活動に踏み出したのは、いつからなのですか。

石川:2001年に「世界がもし100人の村だったら」という本の出版に関わったんです。911ニューヨーク同時多発テロの後、混沌とした世界の状況に対して、「世界がもし1000人の村だったら」というメールが出回ったんだよね。

この話を出版化しようということになって、1000人だと分かりにくいから、100分率にして、絵本というカタチにして。結果、この本が、300万部のベストセラーになったんです。

社会の課題を可視化することによって、社会現象が起きた。
すごいなあと思ったんですよね。ああ、こういうことができるんだ、と。

並河:もうdreamdesignを立ち上げられていましたよね。

石川:ちょうど、3年目ぐらいでしたね。いい意味でショックをもらった。「せっかく会社を立ち上げたんだったら、こういうゾーンで、僕がやっていくという役割って、あるのかな?」って思った。当時はまだ半信半疑だったけれどね。

その後、2005年に、アートディレクターの徳田祐司さんと平和を願うアートプロジェクト、retired weaponをスタートしました。東京、ミラノ、ベルリン、ロンドン、博多とエキシビジョンして、こういう活動で世界中の人に振り向いてもらえることを知ったんです。

広告は日々やっている。でも、勇気を持ったクリエイティブとデザインが、どう社会を変えていくのか、に興味がある。

もう50歳になったけど、蒼くさいままやってます。

並河:その後が、311。

石川:地盤もスリップしたけど、時代もスリップしたって感じたんです。

発災前と、発災後で、絶対違う世界になる。タイムスリップした後に、どれだけ自分が自分でいられるかと思ったとき、やるしかないな、と。

「M9.0世界最大級か。じゃ、復興のエネルギーも愛も、世界最大級にしなくちゃ。」と、Twitterでつぶやいたら、8カ国語に翻訳されて、世界中でRetweetされちゃって、『Pray for Japan』っていう書籍にもなって。その言葉が広まってしまったことで、僕は逃げられなくなったんです(笑)。

佐藤尚之(さとなお)さんから声をかけられて、復興の情報を伝えるポータルサイト「助けあいジャパン」を立ち上げました。

数百人のボランティアがクラウドでつながって、ポータルサイトをつくっていくという前代未聞の方法で、しかも一週間で立ち上げよう、と。でも、できたんです。

会社にも、かみさんにも、俺はしばらく集中する。ゆるしてくれって、言って。

プロデューサーは、スプリンター領域と、継続領域の両方を扱えないといけない

並河:僕が面白いと思うのは、石川さんは、すごく純粋で蒼くさくつっぱしりながらも、でも、ピュアな人って感じじゃないところです。

石川:(笑)

並河:理想で突っ走りながらも、きちんと事業化して継続している。
ピュアだけど、けっして想いだけじゃない。

石川:広告クリエイターって、瞬間的に最大出力を出す、いわばスプリンター。でも、プロデューサーは、スプリンター領域と、継続領域の両方を扱えないと、プロジェクトをつくれない、事業化できない、継続できない。

右脳だけだと、一瞬の花火になっちゃう。左脳だけだと、つまらないものになっちゃう。
右脳と左脳の両方が100%ないとだめだと思う。それが人の心も動かすし、継続もできる要素だと思う。

一言でいえば、ラブとパワー、ですよ。

並河:いわゆるCMのプロデューサーと、石川さんのやりかたって、全然違う。でも、よくよく考えると、石川さんは、本来の意味での、「プロジェクトを生み出す=プロデュースする」ということを実行していると思うんです。

石川さんといっしょに立ち上げた情報レンジャーも、東北県の人々の情報発信リテラシーを高める活動として、県の事業にすることができた。

ある「こと」が持っている価値を、時間軸と空間軸を両方広げてみて、どう成長させていくのか見られる人、それがプロデューサーなのかなと思います。

石川:さらに言えば、続けることだけが大事なわけじゃない。ときどき休んだっていい。
プロジェクトも、人生と同じ。走ったり、疲れたり、寝たり、死んじゃったり、いろいろ起きる。

ものごとには、必ず、はじまりがあって、途中があって、終わりがある。
だからこそ、この一瞬のこの一歩を大切にしたいと思うんです。

後編につづきます。

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