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コラム

東奔西走 関西の編プロ社長奮闘記

編集者残酷物語と、カメラマン残酷物語

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技術革新とは、人の手間を減らして便利な生活や作業を促すモノであるとボクは考えているのだが、どうやら我が業界ではそれとは真逆な技術革新がこの20年間に起こったような気がしてならない。

編集者の作業でいえば、確かにインターネットの普及によって、メールで原稿依頼出来たり、PDFで原稿チェックしてもらえたりと、そこはなかなか便利な世の中になったかもしれない。…が、かつて出版界の匠であったハズの写植職人はどこへ行ってしまったのだろう。ほぼDTPによる出版データが当たり前の昨今、この文字を入力したり、字間や行間の調整は編集者かデザイナーの手に委ねられるようになった。メールで貰った原稿はいいけれど、なかなかどうして未だに手書きの書き手も多い。そんな方からファックスなど受け取ったら、けっこう編集者としては暗雲が頭の中を駆け巡るのは事実なのである。

それはデザイナーや編集者だけの話ではない。昨今いちばん仕事の内容が変容してきたのはカメラマン諸氏ではなかろうか。確かにデジタルでのデータが主流になって、現像代は必要ないし、ラボで真っ青といったボンミスも減ってはいる。何より納品の方法が格段に便利にはなったようだ。

しかし、新たに修正という仕事がカメラマンの時間を圧迫している。最近の編集者は平気で「じゃ、コレ画像処理でよろしく~」だとか、中にはモデル自身が「この吹き出物消しといてくださぁ~い!」などと宣うのである。

カメラは光の芸術である。撮影技術と現像技術のクロスした所にその真価が問われるべき仕事なのだが、そんな仕事は年に何回訪れているだろうか?
今日も明日もパソコン睨めっこで画像処理しているカメラマンの何と多いことか。確かに出版における技術革新はめざましいが、手間が増えただけとは言えまいか?

この近未来に、本当に編集者やデザイナー、カメラマンの手間を減らす技術革新をITな業界の方々には期待したい新春なのである。

石原卓「東奔西走 関西の編プロ社長奮闘記」バックナンバー

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