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日本の重大リスクは、政府債務、エネルギー、農産物――グローバルリスク報告書2013年版の見解

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世界経済フォーラムが「グローバルリスク報告書2013年版」を発行した。その日本語版が3月11日に発行されている。同報告書は、世界の 1000 名以上の有識者、産業界リーダーによるアンケート調査に基づいて作成されている。その調査結果では、政府債務残高への懸念が示され、この先10年の見通しについても、例年より若干悲観的になっていることが明らかになっている。

「エネルギー」「農産物の価格変動」「貧富の差(極端な所得格差)」「サイバー攻撃」「失業(長期的な労働市場の不均衡)」がもっとも発生確率が高いグローバルリスクとなっている。報告書の全文はこちらのサイトでダウンロードできる。

また、日本の専門家が指摘する今後10年で最も発生確率が高く、影響の大きいリスクとして、増加しつづける「政府債務」があげられている。
日本語版はこちらのサイトでダウンロードできる。

「グローバルリスク報告書 2013 年版」では、世界が懸念すべき最重要リスクケースとして「健康問題」「経済・環境へのストレス」「デジタル・ワイルドファイヤー」の 3 項目を指摘している。

健康問題への根拠なき過信

気候変動に加えて、報告書が指摘するのは「健康問題」だ。「人類の健康状態が大きく向上したことにより、現代人は逆に健康について危険なほど無頓着になっている」と警鐘を鳴らす。細菌の抗生物質耐性が増加しており、その結果、健康システムを破綻寸前に押しやっている可能性が指摘されている。今日、世界はより密接に繋がっているため、伝染病も蔓延しやすい状況にある。

このリスクケース分析では抗生物質の耐性増強、慢性疾患そして知的財産の国際的管理の失敗の関連性を検証しながら、国際的連携や異なる資金調達モデルを推奨している。

経済・環境へのストレス

異常気象による極端な災害が続いているにも関わらず、国際社会は内部にこの問題についての認識バイアスがあるため、長期的脅威に取り組むのを渋っている。より緊急性の高い社会経済的なリスクに関心が集中し、気候変動の課題はなおざりにされる傾向が顕著になってきているのだ。

デジタル・ワイルドファイヤー

反イスラム映画がユーチューブを通して広がり、各地で暴動が起こったケースは記憶に新しい。情報の民主化は危険かつ予想不可能な事態も起こしかねなくなっていることを示す一例だ。新しいテクノロジーは、多くの場合、良い方向に向かう力になっているが、使い方次第で、そうではなくなるリスクも伴っている。

既存のメディアは情報の質を守る「番人」の役割も担っていたが、それもなしくずしに崩れてきている。したがって、このリスクケース分析ではネット上の密接な接続性がどのようにして「デジタル・ワイルドファイヤー」、つまりネット上の山火事のような事態を発生させるのかを考え、またそれを防ぐためには何をすべきかを問いかけている。

国家がもつべき弾力性(レジリエンス)

報告書の特別レポートでは国家がもつべき弾力性(レジリエンス)をテーマにしている。世界経済フォーラムでは、国の弾力性評価の枠組みを作成し、各国の指導者が自国の弾力性の経過を判断できるようにした。今日、ひとつの国が単独でグローバルリスクに対応することができなくなっている。よって、その国に備わっている弾力性が守備の重要な第一歩となる。

報告書は、全体を通して、50のグローバルリスクを解説し、それらを5つのカテゴリー(経済、環境、地政学、社会的、テクノロジー)に分類、それぞれのリスクについての発生の可能性とインパクトという両面から、アンケートの回答者にそれぞれの評価を依頼して作成された。その集計結果によると、回答者の中でも若い年齢層は年配者より、より大きな懸念をリスクに対して持っていることが分かったという。また女性回答者は男性回答者よりもより悲観的な見解を多く示す傾向にあり、地域別にみると、北アメリカの回答者は他の地域の回答者と比べると、リスクが発生する可能性が高いと判断する傾向がみられたという。

「グローバルリスク 報告書2013年版」はマーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ、スイス・リインシュアランス・カンパニーズ、チューリッヒ・インシュアランス・グループ、オックスフォード大学のマーティン・スクール,シンガポール国立大学、およびペン
シルベニア大学のワートン・センタ−・フォー・リスク・マネージメント校の専門家たちの協力を得て編纂されている。この報告書は世界経済フォーラムのリスク・レスポンス・ネットワークの最も重要な取り組みである。リスク・レスポンス・ネットワークはグローバルリスクの所在の理解、監視、管理により弾力性を育成する独自のプラットフォームを官民両セクターのリーダーたちに提供している。

『環境会議2013年春号』
『環境会議』『人間会議』は2000年の創刊以来、「社会貢献クラス」を目指すすべての人に役だつ情報発信を行っています。企業が信頼を得るために欠かせないCSRの本質を環境と哲学の二つの視座からわかりやすくお届けします。企業の経営層、環境・CSR部門、経営企画室をはじめ、環境や哲学・倫理に関わる学識者やNGO・NPOといったさまざまな分野で社会貢献を考える方々のコミュニケーション・プラットフォームとなっています。
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