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東急東横線と副都心線の直通運転は渋谷駅周辺の広告価値を変えるのか

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3月16日より東急東横線と東京メトロ副都心線の相互直通運転が開始になった。埼玉県の川越市や秩父市と神奈川県横浜市までダイレクトに向かうことができるようになり、渋谷駅は注目を集める一方改札外に出なくなる懸念も。この結果、広告価値に変化はあったのだろうか。

渋谷駅に立ち寄るよう話題を提供し続ける

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東急東横線 旧渋谷駅最終日には、鉄道ファンをはじめとした多くの人で深夜にもかかわらずにぎわった。

2013年3月15日、東急東横線渋谷駅は85年にわたって親しまれた地上駅舎から出発する残りわずかな東横線を見ようと、鉄道ファンをはじめとした多くの人で深夜にもかかわらずにぎわった。翌16日より東京メトロ副都心線と相互直通運転を開始するにあたって発着ホームが変更になるためである。

そして、この旧渋谷駅跡は3月26日~5月6日までの約1カ月半イベントスペース「SHIBUYA ekiato」として、ユニクロが3月28日~4月7日の期間限定で実施したTシャツ店「UT POP-UP !TYO」などが行われた。

わずか1カ月半という短期間ながら、イベントスペースとして活用した理由を東急電鉄 広報室の長谷氏は次のように話す。「相互直通運転の開始ならびに東横線渋谷駅ホームの移設は、多くの方から注目を集めると同時に、渋谷駅の改札外にお客さまが出なくなってしまう懸念もありました。そこで、SHIBUYA ekiatoとして話題性の高いイベントを行うことで、『渋谷では常に何かが行われている』というイメージを生活者の方に持っていただきたいと考えました」。

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相互直通運転後も、東急東横店の改装やSHIBUYAekiatoなど、多くの話題を提供している。

実際に、SHIBUYA ekiatoのイベントスペースには、想定以上の問い合わせもあったという。また、SHIBUYA ekiatoとしての役目を終える5月からは、この跡地に建設予定の地上46階、高さ約230メートルの建物工事が予定されており、この旧渋谷駅舎も解体される。駅舎の運営終了後、すぐに工事に着手せず、あえて渋谷駅の活性化を図るため、跡地を情報発信基地として戦略的に活用している。

また、これと時をほぼ同じくして、1934年以降、渋谷駅のターミナル型百貨店として展開をしている東急東横店の東館が閉店。それに伴い、西館と南館を改装し4月4日にグランドオープンした。従来の6割程度に売場面積が減少したが、昨年4月にオープンした渋谷ヒカリエ内にあるShinQs(シンクス)で始まった流行をいち早く察知するバイヤーが商品をセレクトする自主編集型売場や期間限定の売場を各階に配し、常に新しい提案をしていくという。相互直通運転が始まり、「渋谷で下車する人が減るのでは」、「通過されてしまうのでは」いう不安の声も聞こえるが「東急百貨店は、東横店をはじめ、渋谷・本店、渋谷ヒカリエ・ShinQsとターゲット層が異なる。だからこそ、幅広い世代の方が渋谷に訪れたくなると思っていますし、そうしなければならないと考えています。今回、東横のれん街も渋谷マークシティの地下1階に移設し、東急フードショーとつながったことで有数の食料品店街となりました。魅力ある売場が異なる店舗であっても密集していることで、渋谷の街全体がより集客力のあるブランドになると考えています」と東急百貨店 東横店長 神谷氏は話す。

相互直通運転関連で注目が高まりに合わせ、話題となるコンテンツを立て続けに提供することで、訪れたく街になるように取り組まれている渋谷。では、渋谷のメディア価値に現状、変化は起きているのだろうか。

広告主企業の注目度は良くも悪くも変化なし?!

東急東横線 旧渋谷駅跡地に建設予定のビル完成イメージ(渋谷ヒカリエ方面より望んだ様子)。

3月から4月にかけてニュースメディアを中心に、大きな注目を集めた渋谷駅だが、数多くある広告メディアに対して広告主企業からの反響の変化があったのか、多くの鉄道広告を扱うジェイアール東日本企画に聞いたところ「特に大きな反響の変化は見当たらない」という回答であった。先述の東急電鉄 長谷氏のコメントにもあったように、渋谷駅の改札から出ずに通りすぎてしまう人が多くなる懸念もあったが、SHIBUYA ekiatoでのイベント開催や東急東横店の改装オープンなど、渋谷駅を中心に話題を提供し続けることで、今回の東急東横線および副都心線の相互直通運転によって広告価値は特に変化はないということなのだろう。

東横線の旧渋谷駅は、駅舎自体が注目度の高い広告媒体であったが、渋谷ヒカリエや渋谷駅に、隣接する場所にデジタルサイネージなど新たなメディアが設置されるなどしている。そのため、いまのところ心配していた注目度の低下などは起きていないと見られる。