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コラム

楽天大学学長が語る「EC温故知新」

なぜ国内1店舗だった洗車用品店が、数年で8ヵ国300店舗を超えたのか?

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いきなりですが、クイズです。

【問】オリジナルの洗車用品を扱う「洗車の王国」というネットショップでは、お客さんの「苦情のようなメール」をきっかけに大きな変化が起こって、数年で国内1店舗から8カ国300店舗を展開するに至りました。さて、そのお店へ実際に届いた「苦情のようなメール」は、次のうちでしょうか?

(1)「イベントの日程を急に言われても困る」
(2)「ウチの夫は車が好き過ぎて、お金がかかって困る」
(3)「貴店のSENSYAという理念は論理的に意味不明なので困る」

(考えタイム)
ちっ





ちっ





ちっ





ぼーん!

正解は、(2)「ウチの夫は車が好き過ぎて、お金がかかって困る」です!

お客さんのメールによって、理念・ビジョンがバージョンアップ

洗車の王国」では、オープン当初に、「日本中の車をキレイにしたい」というビジョンを掲げていました。

あるとき、お客さんから、「ウチの夫は車が好き過ぎて、お金がかかって困る」というメールが届きます。お叱りのメールかな……と思って読み進めると、「でも、最近、車の運転が丁寧になった気がします。洗車のおかげかな」と書かれていました。それを読んだ社長の相原 浩(あいはら ひろし)さんは、頭をハンマーで叩かれたような衝撃を受けたといいます。自分の体験を振り返ってみて、「そうだ! たしかに自分で洗車すると車に愛着が湧いて、運転が丁寧になる。ひいては……交通事故が減ることにつながる!」という自分の商売の因果ストーリーが、ドーンとハラ落ちしたのです。

それ以来、「洗車を通じて、世界から交通事故をなくしたい」という想いを持って「洗車」を広めるための活動するようになります。すなわち、お客さんからのメールによって、理念・ビジョンがバージョンアップしたわけです。

「自宅で洗車するだけ」のイベントに参加できないお客さんが悔しがる

その「洗車を広める活動」の一環として、あるとき「洗車の王国」が企画したのが、「めざせ10,000人!全国チャリティー洗車大会」というイベント。

「◯月◯日◯時から洗車スタートします!」と決めて、参加者はみんなで一斉に洗車をする、というものです。ただ、「みんなで一斉に」といっても、参加者は全国各地に住んでいるお客さんなので、物理的には「各自が家のガレージで洗車をしているだけ」という、ちょっと変わったイベントです。なお、その様子(クルマを愛情込めて洗っている様子やピカピカになった愛車)の写真をお店に送ると、ページにアップしてくれるという仕組みになっています。

また、参加者がそのイベント用に商品を買った場合、収益の一部がチャリティーに回ります。その延べ参加人数を1万人になるまで続けてみよう、という企画です。

初回は、なんと全国的に雨だったにもかかわらず、45名のお客さんが参加。そして、その時間に用事があって参加できなかったお客さんから、「急に日程を言われても困るので、早めに教えておいてほしい」という声(苦情?)まで届きました。

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