村山佳奈女（コピーライター）　
畠山侑子（大広 第1CD局BDC コピーライター・プランナー）

カンヌライオンズにて世界の若手に体当たり取材し、日本へお届けしてきました村山＆畠山です。普段はなかなか交流できない世界の若手を取材してきましたが、ついに最終回となります。この取材を口実に、たくさんの人と話ができたことに感謝！最終回は、パーティで出会った、ヤングカンヌ・グアテマラ代表の男子です。

――かんたんな自己紹介をお願いします！

「グアテマラのBBDOのアート・ディレクター、Marvin Gironです。26歳。ヤングカンヌフィルム部門の代表です！」

――さっそくですが、今年のカンヌ作品の中で一番好きなものはなんですか？

「コカコーラのスモールワールドマシン。本当によかった。

この企画では、不仲と言われているパキスタンとインドをつないでいるけど、僕の国であるグアテマラは、同じ国内の地域同志に距離があるんだ」

――グアテマラの中でもそんなに違いがあるの？

「ああ、例えば言語も22から23もの数が存在するんだ。公用語であるスペイン語を話せない国民が、実際には85%もいるって聞いたことがある」

――そんなに！じゃあ、広告はどの言語でつくるの？

「スペイン語なんだよ。つまり、伝わる人と伝わらない人の差がある。それが、僕らの国が抱えている問題さ」

――全然知らなかった！そういう意味では、スモールワールドマシンはまさに言語に違いを問題にしない、シンプルなアクションでのエンゲージを叶えているよね。

「素晴らしいと思う。ぜひ、グアテマラにもこのスモールマシンを置いてほしい！」

――そうだね。他にも国に対して、感じている問題ってある？

「グアテマラは子供たちがとても多いのに、しっかりとした教育を受けられない」

――教育といえば、今回のカンヌでモバイル部門グランプリを受賞したフィリピンのSMART Communicationsの”TXTBKS”は、使わなくなった古い携帯電話を電子教科書にできる施策で、高価なタブレットを使わず、重たい教科書も持たずに登校できる仕組みをつくっていたね。

「素晴らしいと思う。けど、それは携帯電話が一般的な国ならではのキャンペーン。携帯なんてほとんど持っていない僕の国では、できないことなんだ」

――そういうグアテマラの問題に対して、Marvinさんは広告づくりを通してどんなことができると思う？

「“Zero discrimination”。すべての国のために、差別のない世界を考えたい。」

――すごいと思う。頑張ってね！自分もやる気をもらえた！…ちなみに今夜の予定は？

「今夜ばかりは、このパーティで踊りまくる！」

――そうだね！ヤングカンヌのコンペに支障がない程度にね（笑）想いを伝えてくれて、ほんとうにありがとう！
 
グアテマラが今も沢山の問題を抱えていること、治安が深刻な状況であることを世界にもっと発信していきたい、と熱く語るMarvinさん。国への問題に本気で向き合っているからこそ、自分の仕事でなんとか変えていきたいという気持ちがあふれていました。こういったパッションは、私たち日本人が足りない部分かもしれません。Appleの “Think Different”を生みだした伝説のCD、Lee Clow氏が、今年のセミナーで「そのアイデアで、世界を変えられるか」と話していましたが、まさに国や世界、未来を変えるアイデアを、世界の若手は自力で考えているんだと実感した夜でした。

今回は厳選した6名の記事をお届けしましたが、カンヌライオンズ滞在中は、行く先々でたくさんの若手にインタビューをさせてもらいました。国籍も職種も、年齢も違うたくさんの仲間たちから多くのことを学んだり、言語の壁を超えた共感を得ることもできました。願わくば、今後も世界中のアド・ピープルを情熱でつなぐカンヌでありますように。本連載は今回で終了です！読んでいただき、誠にありがとうございました。

【「カンヌライオンズで、世界の若手に突撃インタビュー！」バックナンバー】

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村山佳奈女（むらやま・かなめ）
1984年、東京生まれ。一橋大学を2留して卒業後、フリー（ライ）ターを経たのちに編集者、現在は外資系広告代理店に勤務（2年目）。賞罰ともにあまり無し。TBSラジオ「文化系トークラジオLife」crew。特技は金魚すくい。



畠山侑子（はたけやま・ゆうこ）
大広 第1CD局BDC コピーライター・プランナー。1984年酒屋の娘として誕生。2007年SFC卒業後、大広に入社。プロモーション局を経てクリエーティブ局へ。2013年アドフェストにヤングロータス日本代表として出場、シルバーを受賞。その他の受賞歴はラジオ広告電通賞グランプリ、ACCブロンズ等。現在はPanasonic等を担当。特技は腹話術。


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