力を入れたのは“地元広報”
推進協議会は3部で構成。「ロケ支援部会」のほか、住民たちのおもてなしの心を養う「受入態勢整備部会」、観光客誘致のための宣伝を行う「誘客宣伝部会」からなり、それぞれの事務局を久慈市役所産業振興部、商工会議所、観光物産協会に置いた。
中でもユニークなのが受入態勢整備部会。ドラマを見て来てくれた人に、地元の人が「知らない」とは言わせないことが目標だ。地元のホテル・タクシー運転手・飲食店など観光関係者や住民向けに「地域の魅力再発見講座」と題し、北限の海女、三陸鉄道、琥珀、まめぶ汁、南部ダイバーなどドラマで取り上げられたものをテーマにセミナーを実施している。
実際にロケ地を巡る「現地視察研修」、心構えと実習からなる「おもてなし講習」、さらにはNHKの担当者を招いた「あまちゃん」のロゴ使用説明会を実施。ロゴ使用に関するルールについて説明し、関連グッズの販売による盛り上げを加速させようとしている。「メジャーな観光資源は一つもないかもしれない。それでも、地元の人が自信をもって話すことが、来てくれた人の『良かったよ』という言葉を引き出すと考えています」。
下舘氏は30年間自動車販売会社に勤務し、営業部長の経験もある。「何をしたら相手が喜ぶか。逆に何をしたら嫌がるかは想像すれば分かる」。ロケ隊には地元名産品を使った炊き出しを届け、ロケ中の役者をむやみに撮影することなどを住民に禁じた。
3月、5年間務めた久慈市産業振興部長を定年退職した下舘氏は「まちづくりアドバイザー」として今もロケ支援に携わり、放送終了後も支援推進協議会を続けるべき、と力を込める。「まちづくりを一過性のものにしてはいけない。ドラマが終わっても、来てくれた方に喜んでいただくという根本は何も変わりません」。
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