LINEが一人勝ちする理由
アナログな部分が差別化の鍵となったウェブのいい例として、LINE、カカオトークなどのチャットアプリが挙げられます。操作性のよさや通信の安定は大前提、前述の2社だけでなくFacebook、GREE、DeNAも参入を試みていますが(GREEとDeNAはすでに撤退)、国内ではLINEの一人勝ちという状態です。ユーザーインターフェイスや安定性に大きな差があるわけではなく、どこの会社もしっかりデータをとって、すごいスピードで最適な形に進化・改善していることでしょう。ここまでは、回せて当たり前の世界です。
一番の差別化のポイントは……、スタンプです。ブラウンやコニーのかわいいスタンプこそLINEの一番の魅力であり、あの愛おしいキャラクターはデータから生まれるものではなく、情熱と多少の偶然から生まれるものです。スーパーマリオみたいなキャラクターもポジションとしてはそう遠くはないでしょう。課金どうこうは脇に置いておいて、任天堂が今後どこまでデータドリブンの部分でオンラインゲームの会社と戦っていけるのか、というのもひとつ楽しみなところです。
補足ですが、かわいいスタンプを作り出せればチャットアプリ市場で勝てるのかというと、もちろんそうではありません。チャットアプリは、大容量の回線を開きっぱなしにしておく必要があり、巨額の通信コストが初期段階で必要になり参入できるプレーヤに限りがあります。その要件を満たした限りがあるプレーヤ、もちろんデータドリブンでゴリゴリ進めていくという体制がワークした中で誰が勝つかという部分としてのスタンプであり、ここが雑誌におけるコーディネートにあたり、差別化要因として機能しています。
雑誌の最適なオンライン化とは
数年前に電子化の波がはじまりましたが、雑誌は書籍・マンガに比べ期待されていたほど電子化が進んでいません。電子化が進めば、前述の表紙のテストはもちろん、データドリブンの世界へようこそ、読者がどのページにどれくらい滞在時間等のトラッキングまで可能になるところにあるはずだったのが、現状の受け入れられ方をみていると、表紙があって綴じてあるというインターフェイスはやはり紙に適した構造と言わざるを得ません。どうあがいてもトラッキングできないというその特性からみると、次のステップは電子化ではなくウェブ化と考えるのが、やはり一番自然なのかもしれません。
余談ですが、テレビに関しては技術が進歩すればより細かいトラッキングが物理的・論理的には可能であり、近い将来、解析部分のウェイトが今の何十倍にも増えパーソナライズド化が進みウェブに近づいていくことになると思います。YouTubeがそうであるように、番組や時間ごとではなくユーザーごとにCMが振り分けられる日もそう遠くないでしょう。
もはや業界を問わず生き残るためにはデータドリブン、そしてその上で勝ち抜いていくためにはアナログな情熱や感性、この組み合わせで勝負できる最前線がソーシャルウェブの世界なのです。ちょうどフローモデルの代表例であるチャットアプリの例を出しましたが、次回はコンテンツのフロー&ストックについて話していきます。このバランスもまた按配が面白く、日々考えているところなのです。それではまた2週間後に!
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