コラム

楽天大学学長が語る「EC温故知新」

一目見たら欲しくなって買ってしまう人が続出の「キケンなハンコ屋」がSNSでシェアされる理由とは?

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(1)「新しいアイデア」とは「既存のものと既存のものの新しい組み合わせ」

アイデアパーソンのバイブルである『アイデアのつくり方』のなかに書かれているように、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」ということはよく知られています。ただ、ビジネスの現場では、目にする多くが「【成功事例】と既存の要素の【既存】の組み合わせ」、つまり、「うまくいっている事例(売れているモノ)をコピーして少々アレンジを加えただけのもの」のように思えます。「新しい組み合わせ」は、知ってはいてもなかなか実践が難しいようです。だから多くの人は、価格競争やサービス競争に巻き込まれてしまいます。

この点、「しにものぐるい」のハンコは、「認印」という既存要素と「ゆるキャラのイラスト」という既存要素から成っています。それが「新しい組み合わせ」だからこそ、「なにこれ欲しい!」と思われるわけです。

(2)「シェアの公式」は「シェア=期待値超え×共感×話の合う聞き手」

「しにものぐるい」のハンコは、上記のようにどんどんシェアされていきました。ただ、そのさまを見て、「よし、ウチもシェアされるようにがんばろう」と思っても、どうがんばってよいのかイマイチよくわからない、という人は少なくないようです。
そこで、シェアが発生するときの要素を因数分解してみたのが、この公式です。

シェア=期待値超え×共感×話の合う聞き手

掛け算になっているのは、どれか一つでも要素が欠けるとシェアは発生しないことを表しています。

ソーシャル時代は「共感」がキーワードとされますが、共感だけでは「いいね!」を押してもらえたりコメントしてもらえるくらいで、シェアまではされません。

まず必要になるのは「期待値超え」、すなわち、「期待を現実が大きく上回ること(=感動)」です。この期待と現実のギャップが大きいほど、感動も大きくなり、シェアしたくなる原動力につながります。

「期待値超え」の次に必要なのが「共感」です。単に「期待値超え」だけでは「へー、すごいね」で終わりになります。共感によってその感動が「自分ごと化」して、「誰かに伝えたい」という気持ちが生まれます。

最後に必要なのが「話の合う聞き手」です。いくら「期待値超え」と「共感」が揃っていても、話を聞いてくれる相手がいなければシェアのしようがありません。ソーシャルメディアの一つの特長は、「話の合う人同士がつながり合っていること(興味関心に基づくコミュニティの存在)」によって、「話の合う聞き手」の要素が充足されていることにあります。

この3つの要素を意識的に満たそうとすることで、シェアが発生する可能性を能動的に高めることができるでしょう。「しにものぐるい」でいえば、ハンコそのものの目新しさだけでなく、お店の世界観によっても「なんじゃこりゃー!」という期待値超えがあり、「欲しい!」と共感した人が、話の合う友達とつながっているSNSでシェアをしている、ということになります。

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