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社会のためになる消費(6)捨てられていたりんごから生まれたおしゃれスウィーツ

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1袋につき1円を森林保全活動に還流

また、半生食感の「やわらかフルーツドライ」は、そのまま食べてもおいしいが、紅茶に入れてアップルティーにしたり、砂糖の代わりにケーキやお菓子に入れたり、サラダに入れたり、やわらかさと味わい深さを生かして様々な楽しみ方ができる。

さらに、「やわらかドライフルーツ」にはもう1つの秘密がある。60グラム入りのパックを1袋買うごとに1円が森林保全活動のために還流されるのだ。支援先は長野県東部の佐久地域、千曲川上流部に位置する小海町にある小海県有林オフセットクレジット創出プロジェクト。支援金は、EVI(Eco Value Interchange)を通して、その森林保全活動によって認証されたオフセットクレジット(J‐VER)の購入費用に充てられる。捨てられていた林檎を付加価値の高い商品にするとともに、その売上げの一部を二酸化炭素の吸収源である森林を整備するために充当する、健康志向とエコ志向に応える商品なのだ。

森を守る人々とそれを支えたい企業や生活者をつなぐEVI

J‐VERはCO2の削減を目的として環境省によってつくられた制度で、オフセットしたいCO2の排出者は、J‐VERのCO2の吸収量を購入することで、その分削減したとみなすことができるというもの。一方、森林などの吸収源を持つ側は、樹木の生育によって吸収されるCO2の吸収量を販売することで、森林の適正な維持管理のための活動資金を得ることができる。今年4月からは経済産業省の、省エネなどによる削減分を活用した国内クレジット制度と統合され、J‐クレジットとして運用されている。省エネ法や東京都の排出削減義務化への対応や、CO2の削減目標の達成を目指す排出者にとっては、大掛かりな設備投資をしなくても削減できるメリットがあるが、現状ではなかなかクレジットが使われない(購入されない)という問題を抱えている。制度の認知度の問題や費用対効果、購入することに対する罪悪感など、様々な理由が考えられるが、マッチングの難しさも大きな要因である。

CO2を削減したい(しなければならない)し、森林を守ることには賛成。しかし、実際に購入するとなると、どこのどんな人たちが管理しているのか、どんなクレジットがいいかなど判断するのは簡単ではない。クレジットを創出するプロジェクトは、交通の便の悪い、いわゆる僻地にあることが多く、現地視察1つとっても簡単ではないのだ。EVIは、森を守る人々と、森を守る活動に関心があるがどんな支援をしたらいいのかわからない企業や生活者のニーズを踏まえて、3者をつなぐためにつくられたプラットフォームだ。現在、森林保全活動を行う45団体がEVIに参加しており、EVI推進協議会では、オフセットクレジットに関心のある企業との橋渡しや、寄付付き商品の開発、プレゼント・キャンペーンの企画等を通した生活者との橋渡しに取組む。

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