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社会のためになる消費(6)捨てられていたりんごから生まれたおしゃれスウィーツ

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社会のためになる消費(1)(2)(3)(4)(5)に引き続き、『環境会議』2013秋号「社会のためになる消費」特集の一部をご紹介します。

取材協力
加藤孝一 EVI推進協議会 カルビー・カルネコ事業部 事業執行担当


いま、「乾燥野菜」や「ドライフルーツ」を自宅でつくるのがちょっとしたブームだ。野菜や果物を並べるだけで手軽に乾燥できる、家庭用のドライフルーツ・メーカーがヒット商品となっている。もともと乾燥させた野菜や果物を食べる習慣がなかった人も、不足しがちな食物繊維やビタミン、ミネラルなどを手軽に摂れるし、保存がきいて、うま味が増し、調理の手間も省けるというメリットに気づきはじめたようだ。

もちろん、スーパーやコンビニ、通販などで買える乾燥野菜やドライフルーツ商品も増えている。ただ、乾燥野菜やドライフルーツといえば、野菜や果物が不足しているときに、甘い菓子類を食べるよりはましといった健康志向が先行して、味そのものを楽しむというイメージはなかった。ガリッと硬い食感や繊維がなかなか噛みきれないといった経験をしたことがある人も多いのではないだろうか。

ドライフルーツの常識を打ち破る新食感

ところが、このほど誕生した「やわらかフルーツドライ」は、従来のイメージを打ち破るやわらかくて甘酸っぱくておいしいドライフルーツだ。原料には、りんごの王様といわれる「サンふじ」を使用している。


りんごの王様といわれる「サンふじ」を使用した「やわらかフルーツドライ」

つくっているのは、信州の小林農園というりんご農家だ。小林農園のサンふじは、甘い蜜がたっぷり入ったおいしい林檎の代表選手。だが、それだけではなく地球環境への配慮にも熱心に取り組んでいる。少しでも二酸化炭素の排出量を減らすべきと考え、2010年12月に太陽光発電システムを設置し、充電式の草刈り機やチェンソーを導入し、低炭素な農業を目指している。

そんな小林農園だが、実は悩みも抱えている。出荷されない林檎が出てしまうことだ。たっぷり日差しを浴びることで蜜が入ったおいしい林檎ができるが、果樹が生えている場所や実が生っている位置によって、同じ農園でも蜜が入らないものもある。そういった実はジュースの原料として買い取られるが、年によって需要にバラつきがあり、買い取られない年には大量の林檎を捨てなければならないという。

そんな捨てられていく林檎に心を痛め、なんとか食べてもらう方法はないかと考えた人々によって開発されたのが、この「やわらかフルーツドライ」なのだ。今までにない半生の柔らかい食感は、名古屋の環境関連ベンチャー企業ウェイストボックスが開発した特許製法(申請中)によって可能になった。

真空状態で低温処理することで、りんご特有の甘酸っぱいおいしさを“ぎゅぎゅっ”と押しこめ、やわらかいドライフルーツにすることができる。また、うれしいのは、加工の際に着色料を一切使用していないこと。ドライフルーツのなかには、発色をよくするために二酸化硫黄(亜硫酸塩)を使って加工しているものもある。使用が認められた食品添加物とはいえ、二酸化硫黄といえば、自動車の排気ガスなどに含まれる汚染物質だ。口にしないで済むならそれに越したことはない。

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