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Data Democratizationがマーケティングを変える ―「Adobe Digital Marketing Summit2014」レポート(前篇)

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パッチワーク状態の組織と機能

統合する上で、ハブとなるのがデータの存在だ。

各部門が個別に保管、あるいは取得したチャネル別に、ばらばらになっているカスタマーのデータを統合することが、サイロ化した社内体制でパッチワーク状態になっているマーケティングの機能を統合し、Reinventionを遂げるポイントになる。つまりは物理的に組織の壁を取り払えなくとも、まずはバーチャル空間でオンライン上の接点から得られるすべてのカスタマーのデータを集約してしまい、そこにアクセスすれば誰もがデータを使えるような状況をつくってしまう。

それをきっかけに社内の組織体制やシステムも、徐々に変えていくというアプローチだ。

Data democratizationが経営を変える

アドビのNate Smith氏(Product Marketing Manager,Analytics/Adobe Analytics担当者)は取材の中で「Common Platform 」、「Data democratization」 (データの民主化)」という言葉でその状況を表現した。

あらゆるデータが集約される「Common Platform 」をつくり、そこに各部署が誰でもアクセス環境をつくる。Nate Smith氏は、また「データは部門の壁を越え、社内の共通言語になりうるもの。“データの民主化”がデータドリブンマーケティング実現の一歩となる」とも話した。

カンファレンスは、アドビが提供する分析からソーシャル、広告管理、ターゲティング、WEB・アプリケーションのエクスペリエンス管理、クロスチャネルキャンペーン管理までを包括したデジタルマーケティングソリューションである「Adobe Marketing Cloud」の新機能発表の場でもあるが、その目玉のひとつが「Master Marketing Profile」であった。

顧客、見込み顧客に関するプロファイル情報を集約、ひとつの画面で管理できるようにしたもので、リアルタイムにプロファイル情報を更新し、「Adobe Marketing Cloud」のすべてのソリューションで理由できるようにしたもの。

カンファレンス初日の基調講演で、SAPとのグローバルリセラー契約締結の発表があった。

カンファレンス初日の基調講演で、SAPとのグローバルリセラー契約締結の発表があった。

「Adobe Marketing Cloud」のソリューションのひとつである「Adobe Analytics」以外、POSデータ、あるいはCRMなどの基幹システムのデータとの連携も可能で、構造データ、非構造データを組み合わせ、刻一刻と変わるカスタマーのプロファイルを直前のタッチポイント情報まで加味し、リアルタイムに管理することを可能にしている。

カンファレンス初日には、SAPとのグローバルリセラー契約締結が発表されたが、「Adobe Marketing Cloud」では、デジタルチャネルから得られる以外のデータとの連携も強化していく方針だ。

リアルタイム、パーソナライゼーションは実現のフェーズへ

ちなみに「Adobe Digital Marketing Summit」では、2012年開催時には「Digital-Self」、2013年には「The Last Milliseconds」というメッセージが提示されている。

2012年には消費者がオンライン上で過ごす時間が増え、発信する情報も増える中で、そのデータをつなぎあわせれば、デジタル上でもそれぞれの消費者の姿、全体像が浮かび上がってくる。だからこそ、様々なチャネルを得られるデータを統合し、消費者を理解することが必要であると発信。

また2013年にはカスタマーの行動をリアルタイムに把握・分析し、そのニーズを理解。その時々のカスタマーの状況に合わせて、適切なメッセージ、コンテンツをチャネル横断的に提供し、カスタマーにとって最適なエクスペリエンスを提供すべきとし、「The Last Milliseconds」というメッセージが発信された。

前述のBrad Rencher氏は「昨年まではビジョンベースで語られていた、個々のカスタマーに合わせたチャネル横断的、かつリアルタイムのメッセージとコンテンツの最適化が実現のフェーズに入っている。『Adobe Marketing Cloud』も、その実現を支援する進化を遂げている」と話した。

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初日の基調講演には企業のマーケターも登壇し、Brad Rencher氏と対談した。写真は、化粧品販売の「SEPHORA」のJulie Bornstein氏( Chief Marketing and Digital Officer)登場時の様子。「SEPHORA」ではPANTONEと組み顧客自身の肌色を分析し、登録しておくと、複数ブランドのファンデーションの中から自分に合ったカラーがすぐにわかるシステム「COLOR IQ」を導入。Julie Bornstein氏は「小売りの現場ではこれまでバックエンドで活用されていたテクノロジーがフロントライン、カスタマーとの接点部分に出てきている」と話した。

次ページ 「究極の“自分ごと化”はパーソナライゼーション」に続く

「Adobe Digital Marketing Summit2014」レポート
(前編)Data Democratizationがマーケティングを変える
(後編)米国マーケターが目指す先は、パーソナライゼーションの実現