農業×デザインを、一過性のブームで終わらせない
一つの事例ができると、人のご縁がさらなるご縁を呼び寄せるもので、千葉さんの紹介で拔山嘉友さん(オホーツク地域振興機構)と知り合うことができました。
拔山さんは、ご当地グルメ「オホーツク北見塩やきそば」を活用した北見市の町おこしなどに中心となって関わっている、いわば地域の伝道師。オホーツクで食に関わる人なら知らない人はいないのではないかと思うほどで、僕は敬意を込めて「ミスター・オホーツク」と呼んでいます。
2013年、拔山さんや各自治体が中心となって展開した、オホーツク産小麦を使った商品開発企画「小麦で、オホーツクる!」は、これからの広がりを感じさせるものになりました。
広域/狭域を問わず、各地域は今、特産物のブランド化に必死です。
小麦に関しては十勝地方が有名ですが、オホーツク地方も負けていません。新しい麺専用の品種「つるきち」の登場は明るい話題ですし、北見市をはじめとするオホーツク地方に本拠地を置くパン、スイーツ、麺、料理店などの加工業者も「オホーツク小麦をどんどん使おう」と積極的にメニュー開発にチャレンジしています。
そんな状況も踏まえ、「小麦で、オホーツクる!」というコピーには、二次産業、三次産業も主役になれるというフトコロの深さをもたせました。
もちろん、オホーツク小麦を使った食品や料理を実際に食べることや食育によって、オホーツク小麦の価値を高めてもらうため、取り組みのプレイヤーには生活者も含まれています。
そのことは、「食べることは費やすことではない。つくることです」というキャッチのポスター表現はもちろん、「オホーツクる!小麦マルシェ」という直売イベントや食育イベントなどでトータルに表現しています。
最近は「地産地消」「安心安全」「顔の見える生産者」という言葉(コピー?)がもてはやされていますが、より一層、その中身が問われてきたように思います。「6次産業化」による商品開発やそれに伴うデザインも、一種の「ブーム」になっている感が否めません。
美辞麗句やクールなデザイン、かわいいデザインだけが求められているわけではない。単なるブームに飲まれないように、その地域や作り手のほんとうの「らしさ」を見つけ出し、地に足のついたコミュニケーションを通じて、その価値を伝えていきたいと思っています。
身の丈に合ったデザインは、クライアントとの会話の中からしか生まれませんよね。
最近は道内の出張回数も増えてきました。仕事で北海道内の179市町村すべてを訪れるのが目標です。
「いま、地域発のクリエイションが面白い!第2弾」バックナンバー
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