前回のコラム「「札幌は、コピーライターにとって楽園である」——その心は…?」はこちら
地域で活動するクリエイターは、その土地の特性を生かしたプロダクトやサービス、表現を生み出すのはもちろんのこと、その魅力を世界に向けて発信することで、業界全体に大きなムーブメントを起こしたり、日本の、そして各地域の魅力を再認識してもらうきっかけをつくることもできるようになりました。
コミュニティの密度が高いからこそ実現する企画、その地に暮らしているからこそ発想できるアイデア。テクノロジーの発展によってそこに情報の発信力、メッセージの拡散力が加わったことで、地域で働くクリエイターができることの可能性は大きく広がりつつあります。
第1弾の好評を受けて実現した、この 「いま地域発のクリエイティブが面白い! Vol.2」には、広告のみならず、プロダクト、パッケージ、空間、建築と幅広い領域のクリエイター9人が登場。地域で働くクリエイターが感じている「限界」、そして「可能性」とは?
等身大で、自分の仕事の今と、未来に向けた思いを語ります。
鎌田順也
鎌田 順也(K D/アートディレクター・グラフィックデザイナー)
はじめまして。グラフィックデザイナー、アートディレクターの鎌田順也と申します。北海道を中心に活動しています。
生まれも育ちも北海道で、東京で3年半ほど働いたのち、2004年にUターンしました。
最近、「地方のデザインが熱い!」という声が聞こえてきますね。確かにそういった気配は感じられると思います。ただ、言ってしまえば東京以外はみんな地方ですから、場所によりけりで、一概に「熱い」とは言えないと思います。
そんな中でも、僕がいる北海道はデザイナーの意識が高い街だと感じます。その背景としては、先輩たちが盛り上げてきた札幌ADC(札幌アートディレクターズクラブ)の活動の影響が大きいと思います。
広島や九州をはじめ、他の地域でもクリエイティブの気運が高まってきていると聞きますが、互いに切磋琢磨できる環境が整っているという点で、札幌は特に恵まれています。全体のレベルが上がることで、普段目にするデザインの質が良くなるわけですから、クライアントの意識も向上しているな、と感じる機会も多くなりました。
年商30億企業が個人のADに仕事を依頼したわけ
その一例として、私がブランディングを担当している「きのとや」のお話をさせていただきたいと思います。きのとやはデコレーションケーキを主力商品に成長してきた、札幌の老舗洋菓子ブランドです。近年、その成長は目覚ましく、人気番組である『カンブリア宮殿』に社長が出演するなど、話題に事欠きません。そんなきのとやが30周年を迎えるにあたり、ロゴからパッケージ、店舗サイン、制服、細かなツールに至るまで、CIを一新。これを一手にお引き受けしました。
CI刷新の目的は、イメージの一新だけでなく、企業の大義や商品力を社内外に今一度しっかりとメッセージすること。最終的なアウトプットのデザインだけでなく、商品のラインナップの整理整頓などにも関わらせていただきました。
JAGDA年鑑などで私のこれまでの仕事を見て、社長直々にご依頼いただいた今回のお仕事。30億の年商を誇る企業が、個人のアートディレクターにこのような案件を依頼するのは、北海道でもかなりのレアケースだと思いますが、今後このようなことは増えていくのではないでしょうか。
というのも、地方における仕事の良い点のひとつに決裁権を持っている方と円滑にコミュニケーションがとれる、ということが挙げられます。きのとやのブランディングもまさにそうでした。決断が早いから、世に出るのも早い。スピード感は企業規模や業態によっても違いますが、地方では中小企業が圧倒的に多いはずですから、迅速なレスポンスは大きな武器になると思います。
「いま、地域発のクリエイションが面白い!第2弾」バックナンバー
- 「札幌は、コピーライターにとって楽園である」——その心は…?(2014/9/26)
- よくある質問「ローカルだといい仕事はあまりないんじゃないの?」に答えます!(2014/9/08)
- 人々の想い×オバケのアイデア×変幻自在のクリエイティブチーム=世の中を良くするソリューション(2014/8/29)
- 懐深い名古屋の地で、「アフリカ×デザイン」「あかちゃん×デザイン」という独自性を育む(2014/8/22)
- その地の人々の暮らし方を、働き方を、そして生き方を良くするデザイン(2014/8/19)
- 1次、2次、3次、そして6次産業は、クリエイティブの力でもっと面白くなる!(2014/8/01)
- “東京コンプレックス”という負のエネルギーからのものづくり(2014/7/29)
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