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コラム

いま、地域発のクリエイションが面白い!第2弾

その地の人々の暮らし方を、働き方を、そして生き方を良くするデザイン

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「デザイン」の魅力や可能性を伝える活動にも注力

2005年、第1回「デザイニング」の終了後に始まった「HACOMONO PRODUCTS(ハコモノ・プロダクツ)」。箪笥などに代表される「箱もの家具」の産地である大川市の家具工業組合からの依頼で、新商品の企画開発・プロデュースなどを行っている。© rhythmdesign

私たちの事務所では、独立以来、設計やデザイン、リノベートの仕事と並行して、「デザイニング」という活動を続けてきました。「デザイニング」は、建築やデザインに関わる人たちが「いま、何をデザインしようとしているのか?」ということを、多くの人に伝え楽しむために、2005年より毎春福岡で開催しているデザインイベントです。

2010年に天神中心部に立地する商業施設「天神イムズ」と共催した企画展「わたしのばしょ」。九州に暮らす人々からの紹介という形で、その地域の良さを伝えることを目指した。展示のディレクション、会場デザインを担当。© koichi torimura

事務所を構えた2004年、特に仕事があって独立したわけではなかったので、時間だけはたくさんあった(笑)。そこで、当時インテリアの業界で働いていた友人と2人で始めたのが、このイベントでした。

事務局はリズムデザイン内に設置しており、近年では、さまざまな分野のデザイナーと協働して企画・運営を行ってきました。

リズムデザインの活動を始めた時に感じていた問題意識とも関連するのですが、デザインや設計の世界で働く中で、「つくり手(専門者)が考えている『デザイン』と、それ以外の人たちが考える『デザイン』との間には、少なからず溝があるな」と感じていました。

もし自分の事務所を構えて活動するなら、設計やデザインをするだけでなく、その面白さを「伝える」ための活動も並行してやりたいと思っていました。

より良い街や暮らし、建築やデザインについて、プロ(専門者)やアマチュア(素人)といった線引きをせず、みんなで話し合い、考え、つくっていく……そのような状況を目指して、それぞれの考えや前提を共有するために始めた活動でした。

いざ活動を始めてみると、さまざまなリアクションをいただき、地域ブランディングや企画展の共催、インテリアデザインなど、建築設計以外の幅広いプロジェクトに関わるきっかけにもなりました。

「継続することを目的としない」として始めた活動でしたが、たくさんの方々に支えられ、10年間継続することができました(デザインイベントとして企画運営してきた「デザイニング」は10回目の開催となった今春を最後に一旦活動休止)。

2010年、福岡パルコのオープンを契機にスタートしたパルコ初の自主編集ショップ「once A month(ワンス・ア・マンス)」のインテリアデザインを担当。©koichi torimura

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