メガネの奥で光る“疑いの目”
また、札幌ではコピーライターが希少です。業界外の方に、コピーライターと名乗ると「え、札幌にもコピーライターっているんですね!」と驚かれることがあります。ちゃんとコピーを書く力があれば、クライアントや広告会社、デザイナーなどから重宝がられるに違いありません。
そんな札幌で街の広告を見ていると「素材の良さそのまま」系のコピー、つまり、食品なら「おいしい!」とそのまま言っている系統のコピーが、多いように思います。
これは、昔から北海道は広告に限らず、「良い素材があるのに、見せ方・売り方があまり上手じゃない」と言われていることにつながる気もします。すなわち、コピーライターが活躍できる余地がまだ限りなくあるということ。特に道外のクリエイターの方からすると、改善できる点ありまくりの状態かもしれません。
そんな環境で、コピーを書く際に心がけているのは、「疑う」ということでしょうか。もともと疑い深い性格なのですが、「この商品の良さは、○○です」と提示された時も、「それは、本当かなぁ」とメガネの奥から疑いの目を向けます。これは、コピーライターの基本だとは思うのですが、ここ札幌で仕事をしていると、それを特に意識しているかもしれません。
そんな疑い深い気持ちから生まれたのが、
アベールジャパンという人材派遣企業のコピーです。
得てして、こういった人材系のCMは、「明るい未来が待っている!」的なメッセージになりがちですが、もっとターゲットの本音に近い言葉を考え、
「 『好き』に、正直な働き方を。 」
というタグラインを書きました。
最後に、同じくアベールジャパンのラジオCMもご紹介します。ラジオのナイター中継で流すために考えたものなのですが、野球場のウグイス嬢が、人材ビジネスに関連する内容を場内放送するという企画です。1試合で5回以上のCM放送チャンスがあるため、5タイプ制作しました。
SE(野球場のガヤ)ウグイス嬢ピッチャーの交代をお知らせしようとしましたが、選手が不足しております。
そのため、打ち込まれているピッチャー吉田の続投をお知らせ致します。
ごめん…吉田!NA(男)そんな時は、ご連絡ください。
人材を求める職場に。
アベールジャパン。
月並みですが、予算など色々な制約があるからこそ、こういうバカバカしいアイデアと言葉が主役になるような仕事を手掛けられるのかなぁと思っています。
おそらく、これからもここでコピーを書き続けていきます。そして、ひとりでも札幌に面白い作り手が増えると、ますます札幌は私にとって楽園になりそうです。
「いま、地域発のクリエイションが面白い!第2弾」バックナンバー
- 地域の老舗企業が、個人のアートディレクターに仕事を依頼したわけ(2014/10/03)
- よくある質問「ローカルだといい仕事はあまりないんじゃないの?」に答えます!(2014/9/08)
- 人々の想い×オバケのアイデア×変幻自在のクリエイティブチーム=世の中を良くするソリューション(2014/8/29)
- 懐深い名古屋の地で、「アフリカ×デザイン」「あかちゃん×デザイン」という独自性を育む(2014/8/22)
- その地の人々の暮らし方を、働き方を、そして生き方を良くするデザイン(2014/8/19)
- 1次、2次、3次、そして6次産業は、クリエイティブの力でもっと面白くなる!(2014/8/01)
- “東京コンプレックス”という負のエネルギーからのものづくり(2014/7/29)
新着CM
-
マーケティング
充電で乗り換え喚起 アウディ ジャパン、電気自動車向け拠点の日本1号店
-
クリエイティブ
品が良すぎる漫才(有元沙矢香)コピー年鑑2023より
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
広報
SNSの声を広報としての判断軸に活かす(広報担当者の情報インプット術/ヘラルボニ...
-
広報
モビリティサービス協会設立、業界の垣根を越えルール作りや提言
-
AD
広告ビジネス・メディア
クライアントの先にいる顧客を深く理解する 大広が中期経営計画で目指すものとは?
-
AD
特集
効果がわかる!デジタルOOHの活用事例
-
販売促進
「脳トレ」でドライバーの健康増進、損害保険ジャパン 「運転脳トレ」のNeUと提携
-
クリエイティブ
デコンストラクションで浮かびあがった9つの視点(木村健太郎)~『世界を変えたクリ...