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コラム

企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方

「アイデアだけではなく“その周囲にまで想像を巡らせること”がポイント」——Jストリーム 白石会長に聞く

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マッチングだけで終わらず、新しい需要をどうやって生み出すか

——社会動向や消費者動向などで、特に気になっているものはありますか?

例えば、ニュースサイトを見ていても、Facebookを見ていても、同じような広告がばかり出てくるようになったと感じませんか? それくらいDSPやSSPの精度が高まってきているのですが、同時に「興味のあるもの=買いたいものなのだろうか?」という疑問も持っています。

むしろそれは、新しいものに出会う機会を奪われているのではないかとも思うわけです。実際、興味のあるものとの関連でしか情報が出てこないと、無関係なものに出会うことは少なくなってきます。宣伝する側としてはその手法が楽なのかもしれませんが、それは今ある興味・関心に対してマッチングをしているだけで、新たな需要を生み出すことにはなってないのではと感じています。この効率化の流れの先に新しいビジネスのヒントがあると感じています。

——新しいという面では、曹洞宗のライブ配信には「こうした業界もネットライブ配信を行うのか」という印象を受けました。今後の業界の動きについて教えてください。

昨今の動画の傾向として、「リアルタイムでの視聴ニーズが増えてきている」ということがあります。今までは、「インターネットを使えば、どこでも、いつでも、好きなものが視聴できる」という、時間に制限されないことが良い点であったのに、ここ2~3年で「みんなと一緒にリアルタイムで共有しながら楽しみたい」という方向に変化してきています。

つまり、一つのコンテンツを長期間置いておくよりも、皆で盛り上がれるようなムーブメントを作って短時間でピークに達するような仕組みにした方が、トータルPVが多くなるということです。これには、一つのコンテンツの消費速度が速くなったことも関係していると思います。そうしたことを目の当たりにすると、「Web2.0」や「ロングテール」の時代を抜けて、その次の時代が来ているという実感がありますね。当社としても当然、ライブでの動画配信サービスの提供は引き続きやっていくのですが、今後はそこからさらに一歩先、盛り上がりを共有する技術的なことだけでなく、コミュニケーション面の仕組みも含めて取り組んでいき、その先に行きたいと考えています。

<取材を終えて>

「新しいことを生み出すためには、その周辺もふくめて、世界観まで想像できているか」を重視しているという白石会長。動画の業界においても、2014年が「動画広告元年」と言われるなど、大きな過渡期に差し掛かっている。そうした場面だからこそ、社員が大きく成長できる機会としていきたい、という想いが強く感じられるインタビューだった。

 

白石 清
Jストリーム 代表取締役会長

昭和56年3月早稲田大学理工学部卒業後、富士通に入社。プログラマーとして大型汎用機のOS設計や、ファックス用ソフトウェアの開発などに取り組む。昭和63年リクルート入社。ファックスのネットワークシステムなどの企画・設計に携わる。平成10年11月 Jストリーム代表取締役社長に就任。平成13年9月同社を東証マザーズへ上場。平成18年6月に代表取締役会長兼社長、平成26年6月に代表取締役会長に就任。