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社内調整と著作権・版権がポイント、PR動画制作のノウハウと注意点

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「権利」関係のトラブルも注意

「著作権侵害で制作した動画が消されてしまった」「版権を持っていなかったせいで、後々思わぬコストが発生してしまった」といったトラブルもよく耳にします(図3)。

1.「著作権」トラブルを防ぐ

皆さんはファレル・ウィリアムスの曲「Happy」に合わせて企業や団体が踊る動画をご存知でしょうか? 日本でも少し前に流行った「恋するフォーチュンクッキー」のダンス動画のように多くのユーザーに制作・視聴されました。しかし、動画を公開した後に音源をめぐってトラブルが起きてしまったという話も聞こえてきます。

最近では宮崎市が公開した「Happy動画」について、音楽会社に無断で公開したとして問題となりました。報道によれば、「Happy」の場合は「個人やそれに準ずるグループは無償使用を認めているが、企業や営利団体、行政がPR目的で使用する場合は原則使用料が発生する」とのこと(9月3日付、毎日新聞)。

著作権は非常にデリケートな問題です。特に注意したい項目としては、出演者・キャラクター・ナレーション・グラフィックなどの効果素材・挿入写真(イラストやロゴ)・BGM・効果音です。利用範囲は権利保有者によって異なりますので事前に確認し、トラブルは避けるようにしましょう。

2.「版権」は自社で保有すべし

動画の制作は、まだまだ外注で行う企業がほとんどかと思います。代理店が間に立つ場合、制作会社に直接発注する場合、いずれも気をつけたいのが映像の「版権」の所在です。当然ですが、版権はなるべく自社で持つことをお勧めします。

「DVDで使っていたがウェブにもアップしたい」「映像を再編集して広告としても活用する」「キャプチャーした画像をオウンドメディアで利用する」といった二次的利用の際、「版権が制作サイドにあって、使用料金を支払わなくてはならない」「動画を少し修正するだけなのに高額なコストがかかってしまう」ということになる場合があります。思わぬ事態にならないためにも、事前に納品書や契約書で、保有者を明確にしておくとスムーズです。

このように動画は順序だてて注意点に気をつければ、スムーズに制作・活用できます。制作はもちろん大変な面もありますが、企業や社員の想いを形にできる、とても楽しい作業でもあります。動画をきっかけに、商品への理解を深めたり、企業課題の解決につながったり、視聴者の心が動くきっかけになることは、とても意義があることだと考えています。読者の皆さんの広報活動において、動画の活用がうまくいくことを祈っております。


山下悟郎
モバーシャル/MOVAAA取締役CMO

2007年映像プロダクション、モバーシャルのスタートアップより参画。ウェブ動画黎明期より、映像プロモーション企画・コンテンツ設計を担当。2014年メンバーズと動画マーケティング支援会社、MOVAAA(ムーヴァー)を設立。