「コードレス掃除機」のケースで言えば、媒体は本当に折込みでいいのか? もっと対象を細分化してアプローチしたほうがいいのではないか?…といった討議を、表現を担当するクリエイターを交えて行うべきだと思います。たしかに制作の手間は増えます(複数の原稿を用意する)が、同じ人数にリーチ(広告の到達率)するメディアやリストは同じ金額で選び直せます。少しの手間を惜しんで万人向けのコピーを流用していると、いくらリーチを獲得しても、肝心のレスポンスが上がらないといった状況に陥りかねません。キャンペーン全体の成果を伸ばすためには、あえてプロモーションを小さく刻んで、表現の個別化を図るという視点を、プランニング(広告立案)の行程に組み込む必要があると思います。
直販広告は、読者とコピーが出会う最初の接点が何より大事です。読み手に、「自分に向けて書いている!」ように感じさせなくてはなりません。
日本を代表するコピーライターのお一人、故・梶祐輔氏の著作にこんな記述がありました。
「ダイレクト・レスポンス」広告がどうしても何かに似ていなければならない、とするなら、それは何十万、何百万人の読者に宛てて書かれる「新聞記事」や「雑誌記事」ではなく、ひとりの人物がひとりの人物に送る「一通の手紙」であるべきではないかと、ぼくは考えている。
(『広告内視鏡』梶祐輔著/日経広告研究所発行)より
そう、まさに「手紙」ですね。通販コピーも相手の一人一人の顔を思い浮かべながら綴る。そのメッセージが確実に届くように、顧客対象の設定にもきめ細やかな運用が求められるのではないでしょうか。
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