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コラム

企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方

「育成ではなく、機会をとらえて自ら成長できるか」——ドゥ・ハウス 稲垣社長に聞く

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機会は平等に与えるが、成長するかどうかはその人次第

——社員の方についても「ほめる」という点をキーワードにした取り組みを行なったりしているのでしょうか?

年に3回ほどの全社会議において、「ホメホメ大作戦」というのをやっています。「この半年間を振り返ってホメましょう」と言って、カードに人でも事業でもサービスでも良いので、「ここが良い」というポジティブ面を具体的にどんどん書き出していってもらいます。

ほめるためには観察力が必要という話をしましたが、これはリサーチにも生きることです。私はよく「無意識の部分を消費者に聞くな」と言っています。消費者行動の多くは実は無意識に起きているんです。確か、9割方は無意識の行動なんです。なので、行動の観察が大切なんです。消費者が論理的に自らの行動を説明した言葉なんて集めても仕方ない。だから、意識じゃなくてむしろ行動を集めろと言っています。

さっきお話しした合宿でも、ホテルの外に出て、いろいろな事象を細かく観察するアクションを行っています。あとは、合宿で社員が同じ時間と空間を共有するという経験が大切です。この経験が何回かあれば根っこは伸びるので、それ以上は本人の問題。同じ研修を受けたとしても、ある人物は100の知見を得るけども、ある人物は1しか得ないかもしれない。でも、それは仕方ないことです。機会は平等に与えるけども、それを成長の糧にするかどうかはその人次第なのです。

——貴社の今後の動きについて教えてください。

先ほど「消費者こそが情報の生産者」という話をしましたが、そうした「消費者の声をしっかりと聞いて、企業に届ける」というのは、これからもっと成長していくことは間違いありません。我々は、そこについてはほかよりも先に取り組み、ノウハウを積んでいると思っていますので、そこは強みをより発揮したいと思っています。

当社は、マーケティングサービスですから、B to Bです。企業からお金をいただきます。それだけではなく、たとえば、「モラタメ.net®」という消費者向けのサンプリングサイトがあるのですが、そのような消費者に直接サービスを提供することで消費者からお金をいただくモデルも成長させていきたいと考えています。

<取材を終えて>

「人材を育成するなんておこがましい」という冒頭の言葉が示しているように、自らが気づき、行動するためのきっかけづくりに注力していた。サービスにおいて「無意識のことは聞くのではなく観察して見つける」ことが大切と語っているように、社員それぞれをよく観察し、どうすればその人が自身で成長のために気づけるか、行動できるのかというタイミングをみはからって、機会を設けているのではないかと感じた。

 

稲垣 佳伸
ドゥ・ハウス 代表取締役社長

1976年早稲田大学卒業。流通系研究機関に在籍後、ドゥ・タンク・ダイナックスに入社。80年ドゥ・ハウス設立に参画、同社取締役に就任。主婦活用型の事業開発などに従事。90年代表取締役に就任。以降「モラタメ.net®」や店頭購入型サンプリングサービス「テンタメ」を開始し、ネットサンプリングの新しいかたちに挑戦。