一昨年だったか、JAXA(宇宙航空研究開発機構)から電話があって、小冊子の依頼を受けました。
国際宇宙ステーションで日本だけが芸術活動をしているんだけど、その啓蒙に役立つツールを作りたいのだと。
その活動どういうものかというと、アーチストの依頼を受けて宇宙飛行士が墨汁で空間に画を描くと、ヘンテコな模様ができあがる、とか…。
オリエンを受けた僕のファーストインプレッションは「それ、お遊びじゃないの?」でした。
以前、宇宙ステーションを舞台にしたPS2のアクションゲームを企画脚本したことがあって(「Operator’s Side」というタイトルで週刊ファミ通のレビューでプラチナ殿堂いただきました)、宇宙ステーションが素晴らしい実験場であることは知ってました。
たとえば地上ではできない、完全に均一な合金ができるとか。
超微量電力でモーターを動かすとか。
そういった発見から地球にフィードバックしてできた新製品はいろいろあります。
でも、芸術の実験場ってどれほどの意義があるのと。
例によって若いコピーライターに、まず、この小冊子のタイトルを考えさせました。
そうすると予定通り、
「宇宙美術館」
といったものが出て来るわけです。
まあそういうことか…。
いや、なんか違う気がする。
これでいくら請求できるのよ。
どこか間違ってるんじゃないか、と思いました。
考え方のスジみたいなものが。
そもそも、JAXAのような頭いい人たちの集団が、お遊びをやるだろうか?
事業仕分けの影響で八重洲の本部も畳んでつくばに引っ越したりしてる中で、そんなものに予算を投じようとするだろうか。
考えていくと、いろんな疑問が湧き上がってきます。
逆に思考してみよう。
この事業は、一見、お遊びに見えるかもしれないが、予算を突っ込むだけの価値があるものなのだ、そこを世に知らしめてくれ、そういう依頼なのだと思い直しました。
「良いコピーをどうやって書くか、ということより先に知っておかないといけない話。」バックナンバー
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